自分が見えていないのが「自分の無知」組織が見えていないのが「組織の無知」
『図上演習』という言葉を使うことが適切なのか?分かりませんが 私は「様々な観点からのブレインストーミング」のこととして使っています
この『図上演習』の良さを 私の大失敗談も含めて 説明します
私の大失敗事例
何個もの偶然が重なって 出会った企業経営者(以下「B氏」と略す)から「このプロジェクトを一緒にやりませんか?」と打診があった時の話です
その日の朝 別の企業からも同じような「プロジェクト参加への打診」があったので 舞い上がっていたのでしょう
「これって シンクロニシティ?セレンディピティ?」
と勝手に思い込んで B氏のプロジェクトに全面的に参加することにしました(一緒に活動していた若い仲間も含めて)
B氏とは アイデアを出し合うブレインストーミングを何度も行い 親しい間柄になっていったのですが 正式な契約という話がでてきません
そこで B氏の企業が扱っている『就活学生向けの自己診断ツール』の新しい活用方法を提案してみました
「”隙間時間”って どうしても生まれますね その”隙間時間”を有効活用することは重要と思ってるんです。美容院でのパーマの時間 病院での待ち時間 そんな時に”自己診断ツール”があれば使うんじゃないでしょうか?占いとか好きな人多いので(笑)」
この提案を 前のめりで聞いてくれたB氏からは「早速社に戻って検討したい」という回答がかえってきたのですが、、、
2週間後にB氏と面談した時 「自己診断ツールの簡易版を作った」といってホームページを見せられました
「新自己診断ツール」の開発に向けての 企画段階から参画できるものと勝手に思い込んでいた私は 愕然として
「せめて見た目でもポップにしないと、、これは真面目すぎて(苦笑)」
と言うことが精一杯
『私たちを販売代理店にしよう』と考えていたのかもしれません
「私の創造性を買ってくれた」と勝手に思い込んでいただけでは?
そもそも B氏は 私が考えている業務提携をしようなんて考えていない
という考え方になっていき
後日 さりげなく
「以前プロジェクトを一緒にやろうと仰ったのは どうなったのですか?」
と聞いてみたところ
B氏は 態度が急変して 捨て台詞 とともに 去っていきました
この時の私は この写真のように 廃墟に投げ捨てられた犬 のようでした
時すでに遅し 後の祭り
B氏と出会った時には「いけ好かないオッサンだな」と感じていたのですが 【業務委託契約=安定収入⇒今後の事業拡大】といった 私の”浅はかな考え”で 自分が見えなくなっていったんでしょう
口では「他人は変えられないのだから 他人に期待をしない生き方をする」と言いながら どこかで B氏 には大いに期待していたんでしょう
自分のビジネス展開への準備物として「対談コンテンツ」「ビデオ名刺」などの動画サンプルは 全てお蔵入り(B氏の企業を題材にして作成の為)
この失敗で学んだこと
関係者への事情説明と混乱のお詫び回りが一段落した夜
ベランダで一人酒しながら 考えました
「そもそも 自分はなぜ?B氏を信用してしまったのか?」
「自分の能力を認めてくれた」という思い込みが アンコンシャス・バイアス となって B氏の『本質』を見抜くことが出来なっていたことが 大きな要因です
『褒められたことでの 自信が過信に流れ 慢心となって傲慢になった』
典型的な【失敗パターン】を進んでいったんでしょう
そこで『本質直観』に注目するようになっていきました
『本質直観』とは
自分が「本質を捉えた」と確信していること自体を手がかりにして その根拠を疑って問い直す作業
何かを気づいてしまった『自分』に対して「どうしてそう考えるようになったのか?」を問うことで 自分の確信が怪しいと気づくこともあり 自分の確信を支える重要な根拠を見つけることもできること
分かっているようで 全くわかっていないのが 自分
「自分の無知にアクセス」
自分と向き合うことで 自分の”無知”度合の高さ を認める
自分への教育は 自分の無知を認めることから始まる
『図上演習』は想定していないことを炙り出す
数年前に 某企業の営業推進部門で実際に開催したモノです(先日の某牛丼チェーン店の事例のようですが(笑))
1時間ほど 参加者に議論してもらったところ「謝罪会見を行うべき」という方向に決まっていきました
「じゃあ 模擬謝罪会見をやってみませんか?」と提案したところ
「やってみましょう!面白そうですね 部長 会見やってくださいよ」
と大いに盛り上がったので 再度参加者で『謝罪会見』に向けた議論を行ってもらって 私が記者役で 質問をぶつけていくことにしました
私:「では部長 今後も学生向け講習会は採用にも影響するでしょうから 今後も続けていくのですか?」
【部長】 同じ過ちを犯さないように 社内へのコンプライアンス研修を実施した上で 講習会の継続を検討したいと考えています
私:「コンプライアンス研修の具体的な内容について説明してください」
【部長】 内容も含めて早急に検討していきたいと考えています
私:「じゃあ 今の段階では何も決まっていないということですか?」
【部長】 え? そこまで想定して議論してないですよ
『図上演習』という模擬体験によって 参加者が全く想定していなかった事態が表面化した瞬間でした
【危機管理=クライシスマネジメント】を 大災害発生時に必要なものという考え方をされている人が多いのですが この謝罪会見も【危機管理】のひとつです
そもそも”危機”なんて管理できるはずもないので 企業としての基礎体力作り 即興力の鍛錬
ビジネスにおいても 1テイクOK でいかないと 信用されません
まとめ
サッカーで ワンタッチのパスが 美しく繋がるチームプレイで相手ゴールに迫ったとしても ネットを揺らさないと勝てません
泥臭い攻撃であったとしても ゴールすれば 勝ち です
最後は個人技です
「アイツは嫌いなので パスを回さない」
試合中に そんな馬鹿げたことは考えないでしょう
ビジネスにおいても同じで 人の好き嫌いや 損得勘定 の前に
『本質直観』 『本質の一致』
ここが最重要です
【各個人に必要なこと】
①基礎技術の習熟 ②創造的逸脱の勇気 ③個のスタイルを貫く意志の強さ
【組織として必要なこと】
人の好き嫌いは関係なくて
「the common result(共通の結果)」に対する「sympathy(共感)」
【『本質直観』を組織化するのは】
『図上演習』を行って 足腰を鍛えながら 組織の無知 を炙り出す
「直接経験の共有」して 組織の無知へアクセス
【ワークライフバランス】
嫌いな人と オフタイムまで一緒に過ごす必要なんてありません
菅野 尚孝さんの素晴らしい記事を紹介します
マイルス・デイヴィス 曰く
何かがおかしくなりはじめた時に指摘してくれる人間を人生で一人でも見つけられれば、とても幸運だ。
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