gift
子供の頃から理由は分からないけれど、どうしても心を動かされる事があって、それは何故なのか不思議に思っていた。
けれど、学校に入って勉強し、卒業して就職をして、生活をする為にお金を稼いで……と日常を過ごしているうちにどんどん月日は流れて行った。
転機は就職して10年目を迎える年。
このままでいいのかとふと思った。
そこで、「理由は分からないけれどどうしても心を動かされる事」に向き合ってみる事にした。
私にとってそれは象だった。
象をTVや本で見ると鼻のおくがつーんとなって涙がでそうになる。
これはいったい何故なのか?
私は覚えていないけれど、子供の頃に象牙の実印を土に埋めて母が激怒したと言っていた。
何故そんなことをしたのか?
とにかく心が揺さぶられて仕方ない。
Daphne sheldrick さんと言う一人の女性の1冊の本から私の象の旅が始まった。
それは私の人生を大きく変え、心に光と優しい風を与えてくれた。
本の中には、今まで経験した事のない素晴らしい世界が広がっていた。
そして何より、象の素晴らしい知性や愛情、驚くべき能力が描かれていた。
これにより、「理由は分からないけれどどうしても心を動かされる事」に合点がいった。
そうなると、それを体感せずにはいられなくなった。
象に会いたい。実際に向き合ってみたい。
私はアフリカに向かった。
視界を遮るもののないひろいひろい大地。
空いっぱいに広がる白い雲。
広大過ぎて空と大地の間が近く見え、太陽の光で大地にたくさんの雲の影が写っては流れて行く。
心地よい風がサラサラと草や樹の葉を揺らし、様々な鳥や昆虫の歌声が聞こえる。
まるで自然のコンサートのよう。
そしてとうとう象と対面した。
大きい。
やっぱり自然の中で生きている象は美しく本物の姿だった。
足音はせず、静かにゆったりと歩いている。
大きな耳を動かす度に、薄いゴム製のシートがあたるような音が聞こえる。
長い鼻は器用に草をむしったり、仲間の体に優しく触れたりしていた。
長いまつ毛の奥の目は、とても深く叡智を物語っていた。
こうして私は一生懸命お金を貯めてはアフリカに足を運んだ。
アフリカでは飽き足らず、アジア象にも会いに旅をした。
そして、様々な象と出会った。
今でも象に会うと心が震え、鼻の奥がつーんとなる。
象はそんな私の感情を理解しているように感じる。
もう記憶にはないけれど、私は3歳頃まで東京に住んでいた。
おじいちゃん子で、おじいちゃんは私を毎日乳母車に乗せ上野動物園と花やしきへ連れて行ったそう。
私はその時、象から何か優しいメッセージを送られたのではないかと勝手に思っている。
象の事を知れば知るほど、その能力や知性に驚かされ、そんなこともあり得るのではと思うからだ。
私は象に出会えて良かった。
それは、「生きててよかった」と心から思える理由。
象の旅で出会った人々との繋がりは、とても大切な宝物となった。
日本からアフリカや象は遠く感じたあの頃が懐かしい。
どんな匂いがするのか、どんな草が生えているのか。
必死に想像した。
行動したことで、トラブルも喜びも、想像を超える体験をすることが出来た。
いつか、また記事で書いてみたい。
象は神様が私に与えてくれた人生のGIFT。
そしてこうして私がパソコンに向き合っている今も象たちがゆったりと愛する家族と共に大地を闊歩し、同じ時代を共に生きている事に幸せに感じている。
もしも、何となくこの記事を見ていて、私と同じように「心を動かされる何か」に気づいていたら、どうか大切にして欲しい。
人に理解されなくても大丈夫。利益にならなくても大丈夫。
だってそれはあなただけの宝物だから。
そしてもしよければ、何か行動してみて欲しい。
きっと想像とは全く違う喜びや驚きへ導かれるはず。
それは神様が与えてくれた人生のGIFTだから。