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酒のおもいで③

アイリッシュパブでの公演にかこつけて、酒にまつわる思い出をかいてきたのだった。

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法事にて

少し前に祖父の法事があって、田舎にトンボ帰りしていた。その時私は坊さんのお経を聴きながら、祖父との酒の思い出を思い返していた。

祖父は酒が好きな人だった。俺が酒が飲めるようになってからは田舎に帰るたびに良い日本酒を用意して待ってくれていて、どんどん勧めてくるもんだから俺は何度も潰れるくらいまで飲んだし(というか帰ってから潰れた)、祖父も時々ヘロヘロになっていた。俺と飲むのを楽しみにしてくれていたので、俺もなんとなく楽しくて毎度毎度ついつい飲みすぎてしまっていた。祖父は昔酔って自転車ごと用水路に落ちた話を何回もしてくれた。

通夜にて

そんな祖父が、少し前に亡くなった。会いにいって話をした一週間後、とてもあっけなかった。会った時はまだ全然元気でそんなとても一週間後に亡くなってしまうとは思いもしなかった。

その通夜で。

ごくごく定型的な通夜式が終わり、斎場にごく近しい親族だけが残った。ごく自然に飲もうかという話になる。少しだけね、と話をし、近くのコンビニで酒を買い込む。

祖父の前にみんな集まり思い思いの酒を手にして献杯。
祖父の思い出も話した。用水路に落ちた話をしてくれた話もした。もっと昔の話を聞いた。けど次第に酒が進むにつれ、全然関係ない話ばかりになった。とても書けないが大叔父の昔話を聞いたりとかしてむしろそちらの方が印象に残っているぐらいの感じがある。
結局コンビニには、もう一回酒を買い足しに行った。
もっとしんみりするかな、とも思っていたけれどもそんなこともなく。酒が好きな祖父に対する、これが通夜なんだ、という気がした。

今回はそんな思い出の話。

(つづく)

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