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ある「日本人」を追悼して

今日は #ドナルド・ #キーン の命日。日本文学の奥深い機微を理路整然と解き明かす、彼の弁舌は実に鮮やかです。また、谷崎、三島、川端といった名だたる文豪たちとの交友歴にも圧倒されます。

1980年代半ばに同者が執筆したエッセイの文庫が手元にあります。

その題名は

『#二つの母国に生きて』

(朝日文庫)

数章読み進めたところで、なんだか身につまされる記述に出くわしました。日本滞在が長くなるにつれて、キーンが感じたアイデンティティの問題を綴ったくだりです。

いつの間にか、ドイツ在住歴が日本で過ごした時間より長くなってしまった私には、そのまま自分のこととして胸に迫ってきます。

文脈を端折る誤解を招くかもしれませんが、キーンが下した結論は「一国に対して愛国心を感じるよりも、二つの国に対して愛国心を感じた方が望ましい」というもの。

そして、自国の文化はユニークであって他からは理解されないと考える日本、そして自国の文化はユニバーサルで誰もが理解してしかるべきと考える米国に身を置いて、「へんな外人」たることを推奨しています

そんな彼も、2011年の東日本大震災を機に、日本に帰化したことは皆さんもご存じの通りです。そして、今から4年前、文字通り日本に骨を埋めました。享年96歳。ご存命ならば今年百寿を迎えていたはずです。

日本をこよなく愛した「へんな外人」は、多くの人々に惜しまれながら、日本人としてこの世を辞していきました。

#日本文学 #翻訳 #日本文化 #TranslationServiceArai

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