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N響第2031回定期公演Aプログラム

2025/02/09 NHKホール
今回のチェコ・プログラムはまったくの不勉強であった。

ツェムリンスキー/シンフォニエッタ 作品23

Zemlinskyは、木管・金管が指揮者Popelkaの意図をよく理解した演奏。金管とスネアが混沌を表出。おそらく出すべき音が出せていたのだろう。一方で、弦五部はかなり平坦。美しいが、起伏はない。抑揚のないような感じである。

R. シュトラウス/ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11

ホルン協奏曲は伴奏が超「古典」ななか、Baborákに導かれる形で、古典の時代と20世紀を行き来する。Baborákは流麗かつ表情豊かな演奏。弱音の精度がよい。彼のユーモアが古典的あるいは習作的な本作を20世紀の Richard Straussの世界観に落としこんでいるのだろう。幅の広いカデンツァ。

ドヴォルザーク/交響詩「のばと」作品110

今日は4曲の中でDvorákが傑出。Popelkaと管の綿密な打合せが発揮される。手堅いVcが全体の輪郭を際立たせる。2nd Vnの話しかける様が全体の調和・進行をもたらしているのだろう。

ヤナーチェク/シンフォニエッタ

Janáčekのファンファーレはバンダに対するPopelkaの熱意がすさまじい。5楽章の冒頭のまとまりが秀逸。今日のオケの手堅さがここで発揮される。

総じて、チェコ・プログラムは想像以上の満足感。N響初登場のPopelkaは、管楽器の操りが巧みだ。弦に関していえば、popelkaの頭で鳴っているものは、もっと熱情的で、深掘りするような音楽なのではないだろうか。手堅く情感を提示するVc、芯をもって話しかける2ndはその片鱗であろうが、1stやVaは、Popelkaの要求に応えられていたのだろうか。4月より第一コンマスに就任する長原幸太がコンマスを勤めた。のばとの救済では、Wagner的な救済と異なり、ささやかな繊細な救済が提示されていたろう。

曲目
ツェムリンスキー/シンフォニエッタ 作品23
R. シュトラウス/ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11
ドヴォルザーク/交響詩「のばと」作品110
ヤナーチェク/シンフォニエッタ
指揮 : ペトル・ポペルカ
ホルン : ラデク・バボラーク

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