Post-CC OSCE の勉強の仕方
※2019年のブログ記事の移行です
Post-CC OSCE(PCC-OSCE)来年から医師免許のための要件として導入ですなぁ。
で、今年から全国すべての医学部でプレ導入ということで、なにもない手探りの状態で自分は悪戦苦闘しながらちょろっとやってなんとかなりました。
ですんで、今後このような路頭に迷う人間が出ないようにここに最適な勉強法を書き連ねたいと思います。
ただし、試験内容については守秘義務になりますので記載はできません。
さらに、こちらのニュースをご覧下さい
ここの一番最後の部分を見ればわかると思いますが、来年はどうか知りませんが
課題数のところに大学独自課題1~3題と記載があります。
すなわち、全国共通のところがあれば、それぞれの大学で異なる部分もあるのがこのPCC-OSCEです。
ですんで、そこらへんが読んでいる皆さんそれぞれでどうなるかもわかりません。
ということで、ここではPCC-OSCEの核となる医療面接対策で何をやればいいかと、その他なにやっとけばいいかをざっくりと書いていこうと思います。
多分ざっくりやれば、普通に受かる試験です。
ただ、対策やらないと思考停止する試験ではあると思いますので、少しはやりましょう。
じゃあ、何をやればいいか書いていきます。
はじめに
Post-CC OSCEは6年生でやるOSCEのことです。
上述した参考サイトの文章を引用すると
「ある症候を有する(模擬)患者に面接し、鑑別診断を考え、的を絞った身体診察を行い、考えられる病態や、鑑別診断のための検査計画あるいは治療方針等を指導医に報告する」という、日常診療の一コマをシミュレートした課題とし、これを学生一人につき3症候すなわち3課題が出題されるが、他に各大学が独自に調整した課題が1~3課題程度課されている。
このPost-CC OSCEの特徴は、課題が日常診療の場面であることと、評価者が実施大学や他大学の教員の他に、卒業後、研修医として受け入れることになる臨床研修病院の指導医も大学に赴いて6年生の評価に携わることである。
とのことです。
とりあえず読む限り、医療面接は確定で出るということはわかるかと思います。
実際Post-CC OSCE前に事前のシミュレーション動画みたいなのをみることができるんですが、それは医療面接についての全体の流れの動画となってます。
これはとりあえず確認しとけって話ですね。ハイ。
ということで少なくとも面接の練習はしとけって話です。
では、医療面接対策について記載していきましょう。
医療面接対策
概要
医療面接は時間が決まっています。
具体的には
医療面接・身体診察を12分
その内容のまとめ・指導医への報告を4分
です。この時間、割とシビアです。適当にこなすとすぐ時間なくなります。
実際に時間を測って事前に練習することが重要だと思っております。
基本的にイメージは救急外来のwalk-inの対応だと思っておけばいいんじゃないでしょうか。それを一患者計16分で行うと考えてもらえばいいかと。
ちなみに
医療面接中は白紙のメモに情報は記載可能です。それを元に指導医に報告するという流れです。
ここからフェイズごとに内容と対策を見ていきましょう
参考にしているサイトは以下の通りです
ちなみに今から書いていく一連の流れは
①入室~課題を読む
②患者を呼び入れる
③患者の確認と自己紹介
④主訴を聞く
⑤周辺情報を聞く
⑥まとめと解釈モデル
⑦身体診察
------12分終了-------
⑧課題のまとめと、指導医への報告
------16分終了-------
って感じです
患者を呼び入れる前に
試験を受けるためにはその部屋に入らなければなりません。
まずノック3回。失礼します
中に入って、受験番号と名前を言う(それ以外言う必要ありません)
で、席に座って課題を1分くらい読みます。
このときシミュレーションの動画にもありましたが消毒をしています。
テーブルにある消毒剤で手の消毒しておきましょう。
で、アナウンス(患者入れてくださいみたいな)が流れたら患者を呼びましょう
入室~問診
②患者の呼び入れ
「〇〇さん、どうぞ」でOKです。
で、患者が椅子に座ったら
③患者の確認と自己紹介を行います
「今回担当させていただきます、学生の〇〇です」
「確認のためお名前と生年月日を教えてください」
そしたら、いよいよ患者から主訴を聞いていきます
まず最初に聞くのは
「今日はどうされましたか」
そして次に
「もう少し詳しく聞かせてください」
です。
ここまでの流れが終了したらあとは様々聞いていきます。
自分は上記のサイトを参考にして最初それ(OPQRST+ABCDEFGH)で練習していましたが、
「医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)に準じた臨床研修開始時に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目(Ver.1.0)」
(配られましたが、ネットにはこれより前のものしか存在しないようです。きっとどの大学でも配布されるはず)
の症候のポイントという部分に、各症候のポイントというものが存在し、これを一通りみると、上記OPQRST+ABCDEFGHだと、多少足りないことがわかりました。
ですので、無理やり以下のように改変+追加して覚えました。(青字は改変部位)
④主訴を聞く
O onset:いつから
P palliative & provoke:良くなる因子・悪くなる因子
Q quality & quantity:どんな・どれくらい(0~10の11段階で)
R region:部位・広がり
S associated symptoms:随伴症状
T time course:時系列
B beat:動悸
F fever:発熱
W weight:体重の変化
(I itch:かゆみ)
(ここまで聞いたら、「その他一通り〇〇さんについて聞いていきますね」、と一声かける)
⑤周辺情報を聞く
A Anamne&Allergy:既往歴・アレルギー
B back Ground:職業・住居等、スポーツ歴
C cook & check up:食欲、酒、喫煙 健診歴
D drug & depression:服薬歴、抑うつ気分
E exposure:曝露歴(ペット、最近の旅行など)
F family:家族歴・家族や一緒にいた人の状態
G gynecology:婦人科的事項(妊娠、月経など)
H HIV:HIV感染のリスク そのほか排便・排尿・睡眠
V vaccine:ワクチン接種歴(小児のみ)
BFW・睡眠・Vについてはマジでいい案が思いつきませんので、だれか思いついたら教えてください…
##追記##
Googleフォームにて以下のような投稿がありました。感謝しかありません。
ぜひ参考にしてください!
以下引用
問診のところでABCDEFG-HIVというは如何でしょうか?
睡眠→不眠=InsomniaにしたらA〜Hまではアルファベット順で、Hについては排尿排便にプラスして自動的にHIVリスク(性交渉歴含む)も想起できますし
これをすべて聞きましょう。もちろん患者が先に喋った、もしくはいらないと思ったら聞かなくてOKです。
話を聞く前、もしくは聞きながらメモ用紙にこれらのアルファベットの頭文字を羅列していって、その横に患者の話を書いていくのがわかりやすくていいかと思います。
それが終わりましたら、
⑥まとめと解釈モデル
「まとめさせていただきますと」と言って今までの流れを確認
「〇〇さんは今回の症状をどのようにお考えでしょうか」で解釈モデルの確認
を行います
(時間なかったらまとめさせていただきますとはすっとばしてもいいかも)
そして重要な時間ですが、ここまでをできれば
6分以内に終わらせてください。
その人の話すスピードとかで前後するとは思いますが、身体診察に猶予をもたせる上でこの時間で終わらせないと、鑑別が上がる疾患系は、間に合いません。6分でできるように練習してください。
(多分6分でアナウンスが鳴るのでそれを目安に終わらせましょう。)
身体診察
で、次は⑦身体診察です。
「今から身体診察させていただきますね」といいます。
このとき身体診察の前に消毒することを忘れないように
身体診察についても問診同様、
「医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)に準じた臨床研修開始時に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目(Ver.1.0)」
を見て、何が必要か考えました。
自分が考えた結論としては、身体診察は「神経系とそれ以外にわけて、それぞれ必要な検査を覚えて、その中から必要なものだけ診察する」というスタンスで落ち着きました。
それが以下の通り
〈神経系の疾患以外を疑う時〉
上から順に
1. 目(貧血・黄疸・突出)
2. 口
3. 甲状腺
4. リンパ節
5. 頚静脈
6. 胸部(心音・呼吸音)
7. 腹部(場合によっては腹水や肝腫大、有名な徴候)
8. 下腿浮腫
※胸部・腹部などは皮疹の有無なども確認すること
※目の診察はわりといろんな症候のところに書いてあったのでとりあえずやっとくのが無難かと
〈神経系の疾患を疑う時〉
コアカリ上こちらに分類される症候は
(意識障害)、けいれん、めまい、嚥下困難、悪心・嘔吐、物忘れ、頭痛、運動麻痺、腰背部痛
1.意識レベル
2. 眼位・眼球運動・(視野)
3. 聴力
4. 咽頭・喉頭
5. Barre徴候
6. MMT
7. 小脳失調(指鼻指テスト・手回内回外テスト)
8. 構音(が~ご、ら~ろ、ぱ~ぽ)
9. 失語(復唱:今朝はごはんを食べました)
10. 認知機能(見当識→記憶→計算)
11.Romberg徴候の確認
12.歩行
13.反射
その他、頭痛の場合は髄膜刺激症状も加える
※Barre徴候とMMTは時間無いんで上肢だけでいいかも。MMTや反射は脳梗塞時の左右差みるためや、ヘルニアなどに使いたい。
ちなみに患者によってはバイタルサインが身体診察前に提示されるので、基本バイタルサイン(血圧の測定とか)はやらんでいいと思います。
ということで症候に合わせて神経か神経じゃないかをまず選択して、そのうち、必要ななものを上から順に選択してやっていくのがいいかと。
ちなみに、シミュレーションの動画にもありますが、各部位の身体診察終わるたびになにもなかったら何もなかったで「〇〇に異常を認めません」と必ず評価者に聞こえるように喋りましょう。
初期研修医でも使えるので、まぁ覚えといて損はしないでしょう。
ちなみに各診察方法は、OSCEのときのビデオが見れればそれで確認するのが一番ですが、それが無理ならネットで探せば転がってるのでそれで見ればいいかと思います。
ここまで終わったら、席に患者さん戻して
「ありがとうございました。今から指導医と相談して今後の方針を決めたいと思います」みたいなことを言って、一通り終了です。
ここまで12分。問診6分で終わらせればわりといろいろ身体診察する時間ありますので、まず問診6分でできるように練習しましょう。
ちなみにここまでが早く終わって時間が余れば、診察終了後の時間をまとめの時間に使用できます。1分位早く終わるといいかもね。
指導医への報告
さて、12分終了したらあとは4分で患者に報告です。
ちょっとメモに身体診察の内容をまとめたらすぐに報告を始めましょう。
少なくとも3分は報告時間に使ったほうがいいですね。
報告方法ですが、
理想の雛形としては
「患者は〇〇さん、何歳、◯性(性別)です」
「主訴は〇〇です」
「現病歴は~など(問診で聞いたことをしゃべる)」
「身体診察では~(身体診察で確認したことをしゃべる:認められなかったこともすべて)」
「最も考えられるのは〇〇です、理由は~」
「鑑別としては、〇〇が挙げられますが、〇〇より否定的です」
「以上より〇〇を疑い、今後の方針としては〇〇を行うべきだと思います。以上です」
こんな感じです。
ちなみに下線部、鑑別ですが、控えめに言っても難しいので、無理して鑑別について喋らなくてもOKだと思います。そんなことより今後の方針まで言い切るほうが重要です。
太字の〇〇を行うべきについてですが、基本的には今後する検査や、すぐできる処置を挙げれればいいかと思います。
シミュレーション動画では労作性狭心症に対し、12誘導心電図と運動負荷心電図を挙げていました。そんな感じのことを言えればいいでしょう。
これで終了です。お疲れ様でした。練習すればいけると思いますので、試験日のちょっと前から練習することをオススメします。
練習方法について
練習ですが、基本的にはメディックメディアの『鑑別!1st impression』を使ってもらえば大丈夫です。無料ですんで。
これの疾患から選んで、お互いに問診の練習すればいいでしょう。
ですが、
疾患が多いです。しかも多いくせに、症候が足りません。
別に研修医として足りないわけではないですが、機構の提示している症候と差異が存在しています。
ので、自分の練習時はコアカリを参考にしました
この医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)、82ページからの臨床推論の記載を確認して、鑑別!1st impressionの各症候のうち、臨床推論の該当疾患だけ確認しました
(ex.胸痛はコアカリに記載されているのは肺塞栓症、気胸、急性冠症候群、GERD、パニック障害→鑑別1st impressionの胸痛の項はこれらの疾患だけ確認)
確認というのは各疾患の症状と検査の確認です。要は問診、身体診察、指導医へ勧める検査を挙げれるようにするためのチェックを行っています。
自分は無駄に心配症なので、鑑別!1st impressionに載っていなくて、コアカリにはある出そうな疾患もさらに確認しました
確認したのはコアカリの
発熱の項:全身性エリテマトーデス、熱中症
けいれんの項:アルコール依存症
リンパ節腫脹の項:麻疹・風疹
尿量・排尿の異常の項:前立腺肥大症
物忘れの項:認知症(アルツハイマーだけ)・Parkinson病
です。まぁ参考程度にどうぞ
ということで医療面接についてでした。
来年から初期研修医のプログラムに外来実習が必修化されますので、ここで練習するのは悪いことではないと思います。
ただ、この試験、評価が不安定なような気が自分はしているので(漠然と)、そんなに練習しなくてもなんとかなることはなんとかなると思います。鑑別!1st impressionで確認するなんてしなくても国試勉強していたり、病棟実習で患者さんの話聞いてたりしていれば大丈夫だとは思います
ですが、問診の項目の暗記と時間配分くらいは練習しておいたほうが無難です。
時間切れと聞き忘れは怖いからね。
ぜひとも参考にしてください
追記
ツイッターでこのような意見をいただきました
これはほんとにその通りな感じがしました。受けてみて。
といってもどのような採点基準なのかは我々はわかりませんので、大きなことは言えませんが...
いずれにせよ鑑別を挙げれるかどうか、診断ができるかどうかよりも、ある意味システムレビューのような体系的な診察が出来ているかを試されているのが医療面接の試験のように思えます。
したがって、上記に記載したようなルーチンに従ってやっていくというのは非常に有効的な感じがします。
上のような問診・診察ができるようになれば、医療面接は問題ない感じがしますね。
その他
一番最初にもお話しましたが、大学独自のものもありますので、全てが医療面接とは限らないと思います。
まずPCC-OSCEに対してやるべきは問診の項目暗記と時間配分の練習ですが、余裕があればOSCEの際試験項目となった手技はすべて一通り確認しておきましょう。
仮にそれ以上のものが出たら他の人も出来ませんので大丈夫です。
ですが、病棟実習前のOSCEの上位互換がPCC-OSCEなわけですから、OSCEのことはできているって認識のはずです。確認できるならそれに越したことは無いでしょう。
以上です。長々と書きましたが、今後受験する人にとっての参考になればいいかと思います。
健闘を祈ります。
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