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カーテンコールをもう一度…ビジャリブレ、背番号『20』の“正統後継者”たれ

ロス・レオネスにおける背番号『20』
それは、ゴールでチームを救う英雄 ストライカーの証。

2年前のあの日、
先代の面影を感じさせる彼のゴールは、
このクラブに最後のタイトルを齎した。
そしてそれ以来、
ファイナルの舞台で3度も涙を呑んだ。
だからこそ、
“ヒロイックアドベント”をいまかと待ちわびている。

アトレティック・クルブは20日、FWアシエル・ビジャリブレと2025年6月30日まで契約を延長したことを発表した。

1997年9月30日生まれのビジャリブレは現在25歳。バスク地方における歴史的文化都市のゲルニカで産声をあげた同選手は2011年に『レサマ』に到着すると、ビルバオ・アトレティック(Bチーム)時代には通算38得点を記録するなど、ストライカーとして着実に成長を重ねた。そして2016年12月に、19歳でトップチームデビュー。その後はローン移籍でヌマンシアやバジャドリード、さらにはBチームなどで経験を積み、2019-20シーズンにトップチーム昇格を果たした。以降はガイスカ・ガリターノ(2018年12月〜2021年1月)、マルセリーノ・ガルシア・トラル(2021年1月〜2022年5月)、エルネスト・バルベルデ(2022年6月〜)の3人の監督の下でプレー。これまでに通算103試合に出場し13得点を記録している。

2020年に現役引退を発表したアリツ・アドゥリスから背番号『20』を継承したビジャリブレ。クラブの象徴でもあったアドゥリスの“正統後継者”と謳われる同選手の持ち味は、ペナルティエリア内での駆け引きとゴールに対する執着心だ。相手DFの視界から消える動きや逆を取る動きに長けており、ワンタッチゴーラーとして得点を積み重ねてきた。身長183cmと決して大型FWとは言えないが、相手DFを出し抜いてヘディングでネットを揺らすこともある。またエゴイスティックに、ゴールに飢えた姿勢をピッチ上で体現できることも同選手の強みだ。その姿やトレードマークのヒゲも相まって“バッファロー”とも評されている。

これまでにもビジャリブレはゴールという形で、アトレティック・クルブを救ってきた。なかでも忘れられない試合がある。2021年1月17日に、セビリアで行われたスーペルコパ・デ・エスパーニャ・決勝戦のバルセロナ戦だ。アトレティック・クルブが1点のビハインドを追う展開で迎えた90分、MFイケル・ムニアインのFKにビジャリブレがあわせて土壇場で試合を振り出しに戻すと、その勢いのまま延長前半にFWイニャキ・ウィリアムズが決勝点を挙げて、2015年以来となるタイトルを手にした。

今もなお、ビジャリブレのゴールに、偉大なるレジェンドの面影を重ねてしまう。ゴラッソが多かった先代に比べると、ビジャリブレの得点シーンには派手さがない。それでも、チームが窮地に陥った時に、ペナルティーエリア内に出現する“英雄 ストライカー”は、かの背番号を着用している。あの日、確かに『20』の系譜を見た。

アトレティック・クルブ在籍12シーズンで公式戦通算172得点を挙げたアリツ・アドゥリス。クラブにおける公式戦通算得点数ランキングで歴代6位の記録を保持している先代の背番号『20』は、自身の後継者に期待を寄せている。

「ビジャリブレは今季、あまりプレータイムを得られていないけど、私は彼に大きな可能性を見出しているし、きっとこの期待に応えてくれるはず。まずは自信を取り戻し、『僕がここにいる』という一歩を踏み出す必要があるね。活躍に期待しよう」

スペイン紙『AS』より

ビジャリブレにとってこの1年半は、苦難の連続だった。昨季は序盤戦からハムストリングの負傷で戦線離脱を繰り返すと、第14節のレバンテ戦で復帰を果たしたものの、同試合でケガを再発。悔し涙を浮かべながらピッチを後にする姿に胸を締め付けられた。シーズンが進むにつれて、コンディションを上げてきたものの、ラ・リーガ19試合の出場にとどまり、2ゴールと鳴りを潜めた。

そして、今季から指揮を取るエルネスト・バルベルデ監督の下でも、本来の輝きを発揮できていない。プレシーズンマッチでは結果を残したビジャリブレだったが、戦術的な理由からベンチを温める時間が増えている。それでも20日、残り半年に迫っていた契約を2025年6月30日まで延長。これで、『サン・マメス』に英雄が到来するための準備は整った。あとはその瞬間を待つだけだ。

「契約更新は喜びであり、それがアトレティックであればなおさらだ。僕の人生の場所であり、幼い頃から親しんできたチームと、契約を延長できることを誇りに思う。この数年間、とても良い時期も、そうでない時期もあったね。でも、僕が自分自身とアトレティックを信頼しているように、クラブも僕のことを信頼してくれていると実感しているし、それが一番大切なことなんだ」

クラブ公式サイトから引用

セビリアの夜空に鳴り響いた凱歌を忘れない。
それは『英雄譚』の第1章の終幕を告げる祝福だった。
あれから2年の月日が流れ、
止まり続けてた物語は第2章に突入した。
背番号『20』の正統後継者よ、
もう一度、カーテンコールを。

おまけ 『Orsai』

プロフットボーラーとして活躍するビジャリブレには、ミュージシャンとしての顔もある。趣味のトランペットの腕前は一級品で、ことあるごと演奏を披露してきた。さらにはアトレティック・クルブの同僚でもあるイニゴ・レクエ(ベース)、オスカル・デ・マルコス(ギター)、ミケル・バレンシアガ(ギター)、ミケル・ベスガ(ギター)、ダニ・ガルシア(ドラム)と6人組のバンド『ORSAI』を結成(ビジャリブレはヴォーカル兼トランペット)し、2021年1月に公式YouTubeチャンネルに『ONE CLUB MEN』のミュージックビデオを投稿。その後も、オフシーズンやインターナショナルマッチウィークを中心に活動しており、リリースした楽曲はiTunesやYouTubeなどで聞くことができる。


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