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多様性について考え始めたのは「圧倒的なマイノリティ」になってから

こんにちは

人生100年時代に向けてライフシフトするべく準備中のakiです。


私のプロフィールを見ていただいた方はお分かりかと思いますが、私のセカンドキャリアのテーマは『ダイバーシティ・マネジメント』です。


ダイバーシティ経営とは 経済のグローバル化や少子高齢化が進む中で、我が国の企業競争力の強化を図るためには、女性、外国人、高齢者、チャレンジド(障がい者)を含め、多様な人材の能力を最大限に発揮し、価値創造に参画していくダイバーシティ経営の推進が必要かつ有効な戦略です。(経済産業省「新・ダイバーシティ経営企業100選」より)


先日、サイボウズ式に掲載されていた、東京大学准教授(現在は立教大学教授)の中原先生と、株式会社Wasei代表取締役の鳥井さんの、対談記事を読みました。



中原先生は、MITに客員研究員として留学したときに、一夜にして「マジョリティ」から「圧倒的なマイノリティ」になるという経験をしたそうです。

それを読んで、私が「ダイバーシティ」とか「多様性」というワードに、反応するようになったのも、息子の不登校をきっかけに、私達家族が「圧倒的なマイノリティ」になったからだったなと、あらためて思いました。

私も、経歴だけを見れば、大学まで普通に学生生活を送り、新卒で正社員として働き始めて、結婚・出産も経験しましたので、同世代の多くの人が辿る道を歩んできた「マジョリティ」だったと思います。

人生の細かな部分を切り出してみれば、「マイノリティ」な部分はいくらでもありますが、自分のアイデンティティの一部として、「不登校児の母」という立場が加わったことで、「圧倒的なマイノリティ」になりました。

文部科学省によると、2019年度に不登校が理由で小中学校を30日以上欠席した児童生徒は18万1272人で、過去最多を更新したそうです。

全体の児童生徒に占める割合は、小学校で0.8%、中学校で3.9%。
小学生で100人に1人、中学生で25人に1人。

この数字は、私の実感にも一致しています。確かに、息子が小学生の頃は、学年に1人いるかいないかで、中学生の頃はクラスに数人でした。

中学校の卒業式は、全体で行う式に出られない生徒のために、午後の部として、校舎の一角に会場を作っていただき、保護者も同席する形で、校長先生から卒業証書をもらうことができました。

ですので、自分たちだけという孤立感はそこまで感じませんでした。

でも、小学校の卒業式は、みんながいる体育館の二階で、私達親子だけひっそりと参加。

その後、校長室で個別に卒業証書を手渡されましたので、「圧倒的なマイノリティ」をひしひしと感じていました。

ですが、中原先生はこんな風にも言っています。

「圧倒的なマイノリティになる」という経験をして本当に良かったと思っている。これがなかったら、僕は井の中の蛙になっていたかもしれない。

私もそう思います。

息子本人は、当時何を思っていたのか、そもそも当時の記憶が残っているのかさえも、詳しいことはあまり語ってくれません。

ただ、息子に伴走する形で寄り添う中で、みんながいる教室入れず、教育の機会を奪われてしまう子供たちがいることを知りました。

また、学校に行けないことで外に出ることも出来ず、家の中に引きこもらざるを得ない状況であることも、理解できるようになりました。

その上で、マイノリティとして生きることが、どれだけ不安で辛いことなのか。

苦しんでいるのは子供たちだけではなく、社会におけるマイノリティ、女性・外国人・高齢者・チャレンジド(障がい者)の方々も、ハンディキャップを背負いながら働いている。

それらのことにも気づくことが出来たと思います。

鳥井さんは、他人と違う意見を言いづらい空気があったり、同調圧力があったりと、日本人には「違い」に対して排他的な側面があると思う、と言っています。

日本は島国ですし、アメリカのように多民族国家ではないので、「違い」や「多様性」を受け入れ難い土壌があるのかもしれません。

企業にとっては、同質性を持ち、常にフルスロットルで働ける人材の方がありがたいでしょうし、高度経済成長期の日本には、そういう人材が多く存在していました。

しかし、少子高齢化が進む中で、今後増々労働力は不足していきます。

企業競争力の強化を図るためには、多様な人材を受け入れて行かなければ、生き残れない時代になってきているのです。

モノやサービスが溢れ、人々の嗜好や考え方も多様化し、同質性を持った人々が開発し、大量生産された商品は、昔ほど売れなくなくなっています。

多様化した消費者に提供するモノやサービスは、多様性のある人材なくして開発できないのではないでしょうか。

中原先生も鳥井さんも感じている、「多様性」=高コストという現実も、もはや目を背けることは出来ず、様々な制約がある中で、ひとりひとりの能力を活かしてもらうためには、マネジメントの工夫が必要になってくると思います。

そんな、ダイバーシティ・マネジメントに関わっていくために、いま現在、人事の仕事をしながら社労士の資格取得を目指しています。

「圧倒的なマイノリティ」になった私だからこそ、出来る仕事があるんじゃないかと思っています。