社会人大学院合格までのプロセス
4月から大学院生になることが決まり、私の研究テーマは『働くことに困難を抱える人への就労支援政策』なのですが、専門分野で言うと『社会政策』になるようです。
恥ずかしながら、このテーマで研究をしようと思い立って先行研究について調べてみるまで、『社会政策』という専門分野があることを知りませんでした。
大学時代は商学部で、専攻していたゼミは『マーケティング』でしたし、社会保険労務士の勉強を始めてからも、学んでいたのは労働基準法や国民年金法等、法律科目ばかりでしたので、政策についてはほぼ未知の世界でした。
というわけで、現在読み進めているのがこちら↓
この本によれば、
とのこと。
執筆者は経済学部の先生がほとんどでしたので、社会政策の研究者は経済学の専門家が多いようです。ただ、私の研究内容に最も近いと思われる、立命館大学の櫻井純理先生は、産業社会学部の所属ですし、櫻井先生のご著書『就労支援を問い直す』の共著者である東大の本田由紀先生は教育社会学がご専門ですので、社会学の分野でもあります。また、政策と名が付くので、当然ながら政治学にも絡んできます。
というわけで、就労政策を学びたいと思ったときに、どの大学院を選択すれば良いのかについて、かなり悩みました。
元々、いつかは大学院で研究したいという思いを抱いてはいましたが、本格的に大学院への進学を考え始めたのは昨年の春ぐらい。その後、進学説明会やオープンキャンパスの日程がちらほら出てきたので、手始めに6月に行われた明治大学ガバナンス研究科(公共政策大学院)のオンライン説明会と公開授業に参加してみました。
明治大学のガバナンス研究科(通称「ガバ研」)は、公共政策、政治や行政のプロを育成する専門職大学院で、定員50名のかなり規模の大きな大学院です。一つの授業に出席している院生が10名以上で、行政職員や市議会議員等、政策立案のプロが多い印象でした。
先生方も、行政学・公共政策・公共経営・社会開発論等、様々な専門分野の
研究をされているようでしたが、私が研究したいテーマとは少し違うような印象を受けました。私の場合は、日々の実践の中から生まれた疑問や課題に対し、その課題解決のための政策について考え、提言するための方策を学びたいという気持ちが強いのです。
次に参加したのは、法政大学キャリアデザイン研究科の進学相談会。ここは、何と言っても櫻井純理先生の著書『就労支援を問い直す』のもう一人の共著者である筒井美紀先生が所属されていて、筒井先生に指導していただけるのであれば有力候補かな?と思っていました。
しかし、相談会でキャリアデザイン研究科の定員は20名で、指導教授とはマンツーマンで修論を作成することになり、その指導教授を入学前に選ぶことが出来ないという衝撃の事実を知ることになります。
じゃあ、筒井先生に指導を受けたいと思ってもその確率は20分の1ってこと?私は筒井先生の下で研究したいのに、希望が叶わなかったらどうなる?と考えたときに、他の教員の研究テーマや受講する科目のシラバス等も確認しましたが、ガバ研同様、私の研究テーマとはちょっと違っているなと感じました。キャリアデザイン研究科というだけあって、キャリアデザインに特化しているので、政策を学びたい私には合いませんでした。
次に検討したのが、立教大学コミュニティー福祉学研究科です。立教大学にはコミュニティー福祉学部という他にはあまり見かけない学部があり、そのアドミッションポリシーは、「地域社会の問題を当事者の視点から考え、解決方法を構想・提案・実践する人を育てます。」とあります。立教大学コミュニティー福祉学研究科を見つけたときには、正に私が目指す学びがここにある!と思えました。
ただ、立教大学を検討し始めたのが遅く、第一回の進学説明会は既に終わっていたため参加が出来ませんでした。とりあえず、次回の進学説明会の予定が公表されるまで待つしかないと思いながら、もう一つ検討していた大学の説明会に参加することにしました。
もう一つの候補は、法政大学政策創造研究科です。こちらも以前からその存在は知っていて、面白そうな研究科だなとは思っていました。明治大学のガバ研同様、社会人向けの夜間大学院で定員も50名と大規模です。私が大学院を選ぶに当たって、自分の研究テーマに合った科目が学べるかと同じくらい、共に学ぶ研究仲間がいるかどうかも重要なポイントでした。
なので、出来れば社会人が多く学んでいる大学院が良いと思っていたのですが、研究テーマから考えると一番近いのは立教大学のコミュニティー福祉学研究科だったので、どちらが良いか正直悩んでいました。
そんな中、法政大学政策創造研究科の進学説明会に参加したところ、法政大学では教員に直接相談が出来る機会があり、大学院の受験を考えてから初めて指導教授候補の先生とお話することが出来ました。その際、こんな研究テーマで研究したいと考えていますという話をしたところ、「今の社会において、重要なテーマですね。」とのお言葉をいただいて感激したのと、先生が穏やかでとても話やすい雰囲気だったことですっかりファンになり、法政大学政策創造研究科に進学する方向へと傾いていきました。
ただ、その段階では研究計画書の準備も全くしていなかったので、受験は立教大学と同じ春季入試でいいかなと思っていました。でも、家族に「法政大学で研究したいという気持ちが強くなってきた」と話したら、「受験するつもりなら少しでも早い方が良いんじゃない?」と言われて、慌てて秋季入試の準備に入りました。
こんなテーマでというざっくりとした研究計画は立てていたものの、先行研究も探し始めたばかりだったので、その日からは「研究計画書の書き方」の本と首っ引きでひたすら研究計画書作成に打ち込んでいました。でも、まあ人間お尻に火が付けばなんとか頑張れるもので(笑)、とにかく家事もそっちのけでキーボードを叩き続けた結果、なんとか志望理由と研究計画書をまとめ、研究科で課されていた事前面談を申し込みました。
事前面談は、入試の一環として実施されるものなので、試験前に必ず受けておかなければならないのですが、指導教授として希望を出した先生が行うのか?どんなことを聞かれるのか?等々、情報がほとんどない中で受けることになってしまいました。結果的に指導教授に選んだ先生とは別の先生が面接官だったのですが、思ってた以上に研究内容の細かいところまで質問されたので、2週間あまりで書き上げたとはいえ、それなりに頭の中では研究内容のイメージを膨らませていたのが功を奏したと思います。
実は、30代の頃に一度母校の大学院を受験しているのですが、その時は研究テーマも曖昧でしたし、先行研究もほとんど調べてない状態だったので、そりゃあ母校とはいえ落ちるよね。。という感じでした。トホホ
事前面談では、まずまずの答えが返せたのか(?)、「(研究内容については)大丈夫そうですね」とのことで、第一関門はなんとか突破しました。
最後は入試本番で、こちらは指導教授候補の先生も含めた同じ専門群の先生方による面接試験でした。事前面談で聞かれたことを自分なりに整理してまとめて行ったはずなのですが、複数の面接官を前にして緊張したのか、後から考えるとかなりとんちんかんな答えをしてしまったのにも関わらず、無事合格できました!
結局、共に学ぶ研究仲間がいるかどうかも重視した結果、先に合格した法政大学に進学することにして、立教大学の方は受験しませんでした。合格から3ヶ月以上経って、そろそろ入学式や時間割についての連絡も来るはずです。いよいよ4月からは大学院生かぁと思うと、嬉しい気持ちと若干の不安な気持ちが入り混じっておりますが、楽しい春を迎えられたらと思っています。