私がこの部屋を選んだ理由
私の住むアパートは大通りから1本中に入っている。
大通りに横付けするようにコの字型になっている小路があって、その細い路地の両サイドには京都らしく家がひしめき合っている。
車は、ギリギリ1台通れる。けれども地域住民の結託なのか、暗黙の了解なのか、各家庭の前には植木鉢、自転車やバイクが横付けされていて車がスムーズに通れなくされている。
作業のための車はコの字の角のところまできて、そこから先を曲がってまでは侵入してこない。
大通りがすぐそばにあるとはいえ、夜は意外と静かなものだ。
仕事帰り、ふと通りに面した窓の灯がついている家が少ないことに気づく。この区画は生活している人が少ないのかもしれない、と一抹の不安を覚えたのは入居後1週間経った頃だった。
けれども、早朝には家の前に打ち水をするアパートの目の前の住人。立ち話をするご婦人方。日曜日には、大通りに面していないこの路地裏で子供を遊ばせる親。3輪車の駆け抜けていく音が、なんだかいいなと思えた。
この区画には観光客に向けた一棟貸しの宿屋もあって、時折そこに滞在している外国人観光客がこの狭い路地を歩いている。地域住民しか足を踏み入れなさそうな場所に異国人。ミスマッチで妙な気分になるが、それもまた京都らしさがあって面白いと思った。
私がこの部屋を選んだ理由の一番は、日当たりが良かったこと。
休日、ふとした時に畳にさすカーテン越しの柔らかな陽射し。これを見るだけでにんまりとしてしまう。
窓は、東、南、西と三面についている。
南向きの窓がメインの居室の窓で、角部屋の特権を体現したような部屋の作りは大変満足している。
東の窓は、隣の家の壁が目の前で眺望がいいとは言えない。けれども昼をすぎると隣の家の白い壁がいいレフ板になって東側がほんのり明るくなる。怪我の功名というべきなのか、見晴らしはよくないが部屋が明るくなるに越したことはない。こちら側には洗濯竿をかけるスペースもあるが、しかし今のところ使用する予定はない。
西の窓は、キッチンに面している。キッチン幅と同じく、西面(共用廊下側)の壁いっぱいが窓になっている。昼下がりはここからの明かりが眩しいくらい差し込んでくる。休日の14時から16時ごろにキッチンで作業をしているととても目を開けてられない。
一人暮らしには十分すぎるキッチンの広さだ。
私は以前からガスコンロ派で、可能な限り2口コンロがいいと思っている。
朝は、2口+グリルをフル稼働させる。ミルクパンでお湯を沸かし、フライパンでベーコンと目玉焼きを焼く。グリルで食パンを焼いて、朝食セットの出来上がりだ。
グリルがあるおかげで、今のところトースターを買わなくてよくて重宝している。
トースターがない上に、実は今は電子レンジも買っていない。
なくても生活できるかな、という試みでいるが、1ヶ月過ごしてみて特に問題はない。とはいえたまに不便を感じるので、電子レンジの代わりに蒸籠を買おうかと検討している。
ちなみに米を炊くのも鍋なので、炊飯器もない。キッチン家電は冷蔵庫と、最近やってきたウォーターサーバー。それから職場でもらったホットサンドメーカーがあるのみ。ミニマル思考、健在である。
南の窓からの日差しが好きで、ついつい写真に残してしまう。
この部屋のデメリットは、一番は3点ユニットバスの狭さだ。それから水回り(水道管)や換気扇など、設備面の経年劣化。
木造なので冬場がどれくらい寒くなるのか、というのが今からの不安材料だが、今のところはさほど心配はしていない。