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松村北斗がキネマ旬報主演男優賞を受賞したらしいぞ!
2週間前、こんな記事を書いた。『松村北斗がいれば過去最高の日本アカデミー賞だった』。内容をざっくりまとめると、松村北斗が日本アカデミー賞にノミネートされていないことをバカみたいに悔しがっている投稿だ。
『夜明けのすべて』という作品に恋をした人、松村北斗に恋をしている人たちの力もあって、おかげさまで僕が書いた記事の中で一番伸びた投稿になった。本当にありがとうございます。きっと共感してくれた人も多かったのだと思う。
そして、「40いいね超えたぞ!やったぞ!」と喜んでいた矢先、キネマ旬報の発表があった。
作品賞 『夜明けのすべて』
監督賞 三宅唱(夜明けのすべて)
主演女優賞 河合優実(ナミビアの砂漠、あんのこと)
主演男優賞 松村北斗(夜明けのすべて)
いや、凄すぎるって!!!!
『夜明けのすべて』どれだけ獲るねん!!
三宅唱は2年前に『ケイコ 目を澄ませて』で受賞したばかりだし、河合優実も3年前に新人女優賞を獲ったばかり。日本映画界の宝と共に松村北斗が並んでいる!!やべー!!!
日本アカデミー賞どころか、ほとんどの映画賞(唯一のノミネートは報知映画賞)で総スカンを食らっていたのに、最後の最後でキネマ旬報という最も歴史のある映画賞を受賞するジャイアントキリング!これはまるで、M-1グランプリ2019で第3位だった和牛を、超無名だったぺこぱがたったの2点差で最後に蹴落としたときのような興奮に近い。
もちろん負けた方が悪いわけではないが、やはり評価されるべき人が正当に評価されたときほど嬉しいものはない。
そもそも、松村北斗は『キリエのうた』で何かしら受賞しておくべきだったんだ。あの静かな佇まい。広いのに寂しそうな背中。何か言いたげな暗い表情。我々を作品の中に引き込む落ち着いた声のトーン。松村北斗という人間の全てが、映画を輝かせるためにあるのだと勘違いしてしまう。
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終盤の涙を隠すために靴紐結び、泣き崩れるシーンなんてあまりにも自然で、鳥肌と涙が止まらなかったのを鮮明に覚えている。ようやく手にした主演男優賞。この輝かしいキャリアを、これからもずっと大切にしてほしい。
ちなみに、『夜明けのすべて』はTAMA映画賞、ヨコハマ映画祭、毎日映画コンクール、キネマ旬報の4つの映画祭・映画賞で作品賞を受賞している。日本アカデミー賞前(いわゆる前哨戦)の段階で4冠を達成するのは、2018年の『万引き家族』、2021年の『ドライブ・マイ・カー』以来の快挙。これも凄すぎる。これで日本アカデミー賞を逃したら、かなり堪えるなあ…。
そもそも日本アカデミー賞は、大手3社(東宝・東映・松竹)による組織票の影響で、極めて不透明な選出を繰り返してきた。それでも惰性で存続し続け、今なお絶大な影響力を維持してしまっている。その背景には、国内の様々な映画賞・映画祭が、世間に広く認知されていないという問題もある。
もし前哨戦の結果が世間に浸透し、それが世論として機能すれば、評価されるべき作品や人が正当にノミネートされ、受賞する流れが生まれるのではないか。日本アカデミー賞が正しい役割を果たせるようになれば、日本映画界は今よりもさらに盛り上がるはずだ。そして、松村北斗が最優秀賞に輝く日も、必ず来るだろう。