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アメリカでは無理をしないのが鉄則

多忙がもたらした貴重な受診体験

先月どうしても避けられないヘビーな仕事が入り、渡米2ヶ月目にして1か月くらいかなり詰めていた

上の子はelementary schoolにすぐ通えたが、下の子は月齢の関係で途中編入が叶わず9月のkindergarten入園まで通園はお預け。

保育園に通わせる人もいるが、アメリカの保育料はびっくりするぐらい高い。問い合わせると週$500とか月$3000なんて回答が返ってきて絶句する。日本の保育環境の素晴らしさを今更ながらに噛み締めている。

娘に15分おきに遮られながらの作業はリアルにオーマイガッと叫びたくなるような苦行だったし、娘も私のそんな対応に不満を募らせていくのが分かる。しかもアメリカ移転直後で机や椅子もまだ届いていないカオス環境だった。

そんな日々を乗り越えて先日ようやく仕事が片付いた。一気に緊張がゆるんだのかどっと疲れが出て軽く体調を崩す体たらく。薬局の薬も効かないのでファミリードクターにかかることになった。おかげでアメリカで治療を受けるという、初めてかつ貴重な経験をしたので、ちょっとご紹介したい。

マサチューセッツ工科大学(MIT)学食のお寿司「shrimp tempera」($10.99)。 天かすががふんだんに散らしてある。

アメリカの日常的な診療の流れ

まずは受診の流れから。

  1. あらかじめファミリードクターの登録をしておく。

  2. 診療が必要な時は、ファミリードクターに連絡をして予約を入れる。だいたい2~3日内には予約を入れてくれる。状態次第では当日でも受けてくれる。

  3. 来院して診療を受ける。処方薬の内容を聞いたり(処方箋はドクターが調剤薬局に電子データで送るので患者の手元には無い)、生活上の注意点なども受ける。

  4. 会計をして診療は終了(加入している保険会社次第では会計をせずに直接帰れる)。その後、登録している調剤薬局に処方薬を取りに行く

  5. 調剤薬局で処方薬を取りに来たと伝え本人確認をして、処方薬を受け取る。これで完了。

もし救急で大きな病院にかかる場合は、ファミリードクターの提携する病院ならすぐに受け入れてもらえる。そういう意味でもファミリードクターを持つことは重要だ。

ちなみに今回とは別件で、ファミリードクターのおすすめリストをもとに皮膚科クリニックに電話したことがある。このときクリニックの「一見さん」へのシビアさを身をもって感じた。「新患は〇月まで控えている」というところもあれば、ようやく予約にこぎつけられても受診は2〜3週間先だったりする。

予約を入れた日から3週間後の受診日にはすっかり良くなっていたものの、念の為に受診をしたら、2〜3分くらいの診察で32000円くらいかかって頭がクラクラした(契約している保険会社が負担してくれると信じたい)。日本のフリーアクセスの医療システムからすると、ちょっと信じがたいがそれが現実だ。

旬を迎えたボストンの名物ロブスター。弾力のある身にうまみがたっぷり。

何でも相談できるファミリードクター

一方で、アメリカで普及しているファミリードクター(欧州ではホームドクターと呼ぶところも)の素晴らしさを垣間見ることはできた。日本でも10年以上前から導入を訴える声があがっているが、医師会の反対などによりなかなかシステムとして定着しない。

アメリカでは最初にかかるのはたいていはファミリードクター。例えば足が痛くても整形外科医ではなく、まずはファミリードクターの診察を受ける。ファミリードクターの見立てで必要とあらば整形外科への紹介状を書いてもらい、それを持参して整形外科を受診する。そこでの診察情報はファミリードクターにも共有されるので医療情報の一元管理もできる

ファミリードクターは、内科や外科、小児科などの広い領域でトレーニングを受け総合的な診療能力を備えている。子供から高齢者まで診療してくれるのはもちろん、病気を未然に防ぐためのアドバイスや、年齢や性別、家族歴などに応じて必要な検査を勧めたり、適切な健康管理をサポートしてくれる。いわば医療や健康のコンシェルジュのような存在だ。

症状が現れた期間だけ通う耳鼻科や整形外科などと異なり、生涯をかけた長い付き合いなので信頼関係も強固になる

私も日常生活における注意点や自分でもできるケアについて色々と相談にのってもらえた。日本人の先生だったこともあり、話しているだけですごく気持ちがほぐれて、ほっとした気持ちで帰ることができた

ボストン美術館内の「New American Cafe」。頂いたのはアンガス牛のハンバーガー。ビーフの風味が効いて肉を感じた。

いつでも診てもらえる。日本の安心感は圧倒的

アメリカでは病院やクリニックにかかるハードルが高い。そして料金も高い。万が一救急車を呼ぶような事態にでもなった場合、州や諸々の事情によって異なるが、ざっくり民間病院の救急車は3万円くらい、消防署の救急車だと20 万くらいかかかるとか。

日本では思い立ったらすぐに診療してもらえるし、処方薬もその日のうちにもらえる。アメリカではそんなスピード感や安心感は無い。

一昔前くらいに、「日本人は風邪をひいているのに出社したりしてクレイジー」なんて外国人から揶揄されていた。ワーカーホリックぶりを批判している揶揄なんだけど、日本のように何かあればすぐ医者にかかれる環境が整う国でそれをやるのと、アメリカでやるのとでは、リスク度合いが全然違うと思う。

アメリカのような医療事情下では、仮に風邪だとしても完治するまで大事をとらないと、悪化したりこじらせた時に、すぐに医者にかかれる保証もない

現実問題となって目の前にせまるとなかなかの恐怖。予防にも当然、力が入る。無理はせず、ゆったり健康的に暮らそう。そう心に固く誓ったのだった。

ボストンのベストベーグルと呼ばれるベーグル屋さんのサンド。たっぷりのサーモンとクリームチーズ、ケッパーがアクセント。

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