黒猫のミリー【最終話:探していたもの】
何日も彷徨い歩き、ミリーはようやく気づいた。探し求めていたものは、自宅の庭にあった紅葉だった。
ダイニングテーブルから見ることのできる紅葉。家事や書類作業がひと段落したとき、窓の外を眺めて、その姿を愛でるのが楽しみだった。子供が小さかった怒涛の日々、思春期で口論の絶えなかった日々、やがて成人し巣立っていったあの日。これからは夫婦で過ごす時間を楽しもうと話していた矢先、夫に難治性の病が見つかり、帰らぬ人となったその時も。
家からは誰もいなくなったけれど、紅葉だけは変わらずそ