【16歳の夏】 15歳の夏休み間近に家を出た。バレないように。荷物も最小限で。いつものように笑顔で『行ってきます』と家を出た。ワクワクとドキドキしかなかった。この先の不安とか悲しみとか全く感じていなかった。ただ、周りの友達に迷惑かけるだろうなと思った。
《諦めた日7》 絶望感はやがて諦めと変わり私の心を解放した。『もう、あの人たちのために頑張るのはやめよう。無駄だったじゃないか。十分向き合ったし結果も出た。自分の道を進もう。私は私でいいのだ』解放感があった。心が軽くなった。私は諦めたのだ。それは明らめることだと悟った
《諦めた日6》 目の前が涙で見えなくなった。家を飛び出た後どこに行ったか、どこを歩いたか、何をしていたかその記憶は私の中に残っていない。言う等うりにやってきた。ロボットのように1ミリの狂いもないように心がけた。褒められたくて習い事も、学校活動も頑張った。叶わなかった
《諦めた日6》 それをダイニングの片隅で棒立ちになってみていた母が、私に向かってとどめの一言を刺した。『殺されても当然のことをしているんだから』力が抜けた。心の中にあったほんの僅かな光が、崩れゆく心とともに失われて行く。一瞬周りがスローモーションだった。『もう無理だ』諦めた。
《諦めた日5》 ダイニングテーブルを挟み、ぐるぐると逃げ回る。『殺してやる!!』すごい形相だ。『生きている価値もない、殺してやる』と連呼しながら迫ってくる。必死に逃げながらとっさに二階の兄に向かって叫ぶ『お兄ちゃん、助けて!』、、、降りてこない。何度も叫ぶ、、、でも降りてこない
《諦めた日4》 『いったー!何するの?』父を睨みつける。『何のために高校に行かせてるんだ?』『お前は犬以下だ』『生きている価値もない』、、、感情に身を任せているとは言え、流石に言い過ぎだろうと思った矢先、キッチン用バサミを振りかざして追いかけてきた。「やばい、死ぬ」