夜明け前の北斗七星
今朝の空。
夜よりも空気が綺麗なのか
それとも夜明け前の空が1番暗いという言葉通りなのか
普段よりはっきりと見える北斗七星。
年齢を重ねるにつれて
古い記憶から少しずつ薄れていくけれど
何故か星にまつわる記憶だけは
その時の情景まで全て鮮明に思い出せるのが不思議。
幼少期、母と手を繋いで歩いている冬の夜道で
オリオン座の星並びを教えてもらった時の胸高鳴る喜び。
兄と2人、夏休みの夜中にベランダの柵によじ登って
何時間も星を見ながら話していたこと。
星の瞬きを見ながら、平安時代の人が着物で夜空を眺める様子が脳裏によぎったことも覚えている。
初めてシリウスという青い星を教えてくれた、大好きだった男の子。
夢の中、赤土のような枯れた大地に聳える砂の塔の上で誰かと王様が一騎打ちで決闘しているのを、塔の周りをグルグル回るようなカメラワークで見ていたこと。
(次の一瞬で何年か後のビジョンに移り、互いに差し違えたのか体は朽ちて王冠とマントと剣だけがそこにあるのを見届けた後、そこから引き剥がされるように物凄い勢いで視界が地上から離れていく。光の速さで雲を抜け、大気を抜け、あっとゆうまに宇宙に抜け、今自分が見ていた青い星が眼下に見える。もっと離れてゆき星々が星座の形に見える。起きてすぐ同じ場所を調べたら、その星はシリウスのあたりだったように思う。)
都心の真ん中で、高い商業ビルの屋上で
幼なじみと寒さに震えながら降り注ぐ流星群を見つけた瞬間のこと。
スターウォーズで宇宙船がワープする時の様子によく似ていた。
昔住んでいたマンションでは
流星群や月蝕の日は示し合わせたように
住人さん達が家の前に1人2人と集まってきて
特に何を話すわけでもなく、
でもなんだか穏やかな空気が流れていて
ニコニコしながら皆で空の天体を見つめていたこと。
デートで行ったプラネタリウムで
好きな人と手を繋ぎながら
何億光年の光の渦に突然巻き込まれそうになって
涙が溢れそうになったこと。
この地球に生きていて
「どうして?」と思ったやり場のない気持ちや
途方もない寂しさや悲しみも全部、
星を見上げる時に安らぐような気がしていた。
星からは何億光年分の光だけでなく、何億光年の宇宙の叡智が降り注いでるんだと信じている。
太陽に当たるのが大切とはよく言うけれど、
おなじくらい星を見上げることも大切なことだと思う。
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