テレワークでのオンボーディング〜転職者の辛いを無くす3つのヒント〜
テレワークを導入している企業では、新卒者や転職者(中途入社者)の立ち上がりに課題を感じている経営者や管理者は少なくないのではないでしょうか。
実際、SNS上でも転職者(中途入社者)の実体験として、辛さや不安といった悩みを見ることができます。
今回は、転職者(中途入社者)にとってテレワークが辛いと感じる理由とともに、企業として課題解決のためにどんなオンボーディングの工夫ができるのかについて紹介します。
1.転職者(中途入社者)にとってテレワークが辛いと感じる理由
1-1.関係性づくり(信頼関係・人間関係)の難しさ
長年一緒に顔を合わせて仕事をしてきたメンバー同士でも、テレワーク下での課題として多くの方が「コミュニケーションがとりづらい」点を挙げます。
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新しく組織に加入する人にとっては、その課題感がさらに膨れることは容易に想像ができます。
テレワークでよく使われるコミュニケーションツールは、チャット・メールといったテキスト文面中心となります。
チャットのチャンネルは色々な方の業務やりとりや質問が飛び交うことで全員で共有できる良さがある一方、新メンバーにとっては、日常の業務で使われているチャットに突然入ることは緊張するものです。
動いている電車に飛び乗るような感覚に近いかもしれません。
ちょっとした質問を投稿することやチャンネル参加者全員にメッセージが届くことが、通常運転を乱しているように感じてしまうのです。
また、人間関係が構築されておらず、相手のコミュニケーションスタイルが分からない人に対して、「いつ、だれに、どうやって」コミュニケーションをとればよいのかをつかむのは非常に負荷がかかる行動です。
1-2.チームや会社の方向性など、大きな動きがつかみづらい
中途入社者は即戦力を期待されていることもあり、新卒者ほどのサポートを受けずにチームに合流していくことが多いと思います。
その中で、自ら能動的に組織の状況や目指す姿を理解して業務の役割理解や目標設定をしていく必要があります。
しかしながら、テレワークで壁となるのが立体的に仕事を捉えることの難しさです。
自分が役割を担った仕事に関しては、関係者と繋がりながら目の前の業務の理解を深めていき、業務を遂行していくことは可能でしょう。
一方、日々の業務遂行上は直接のやり取りが多くないメンバーとのコミュニケーションは偶発的には生まれにくいのがテレワークの難しさです。
それはつまり、自身の業務の横工程にいる他部署メンバーだったり、自身の業務の戦略立案をするメンバーだったりです。
そのような他部署との情報共有や関係性構築がなされないまま業務を遂行しようとすると、視野は狭くなり、複眼的に物事をとらえたり、全体最適をもって業務を遂行するような動きはしづらくなります。
テレワークでスタートした新メンバーにとっては、自分が入っていない他者同士の会話が聞こえてくることがほとんどありません。
そのような少ない情報受信量の中で、能動的に他部署のメンバーに関わりにいくことは、必要は感じるもののハードルが高いことであり、テレワークで感じる辛さの1つとなっています。
2.テレワークオンボーディングを成功させる3つのヒント
中途入社者が陥りがちなテレワーク環境下での物理的・心理的ハードルについては述べてきた通りです。これらの要因の重なりにより、中途入社者は思ったような成果を上げることができずにいることが考えられます。
一方、企業側も採用した人材に早期に活躍してもらいたいと願っているはずです。
そこで、企業側がテレワーク環境でのオンボーディングにどのような工夫をすることでスムーズな順応が促されるのか、そのヒントを3つ紹介します。
2-1.意図的なコミュニケーションをつくる
オフラインでの業務遂行以上に、人の顔が見えない中で業務が始まります。
その環境下で新メンバーに少しでも早く組織内が心理的安全な場であると認知してもらうためには、組織側からたくさんの肯定的なアクションを見せることが大切です。
歓迎されていることが伝わることが、新メンバーの能動的なコミュニケーションにも繋がっていきます。
肯定的なアクションの具体的な例としては、
・できる限り様々な部署の人との自己紹介の場面をセットする。
・業務遂行とは関係のない共通点のある人と繋がりをつくる。(趣味のチャンネルや部活動、オンラインランチ会などの取り組み)
・受け入れ側のメンバーは、意識をして新メンバーの発言や投稿にリアクションをする。
・育成担当や上司などとの定期1on1を短時間でもこまめに実施する。
・関連部署の定例ミーティングなどに新メンバーを同席させる。
などです。
2-2.言葉での見える化を行う
新メンバーの日常の動きや取り組みたいことなど、これから組織の一員として進んでいく過程を、上司や育成担当といった支援の中心メンバーだけではなく、その他のメンバーにも見えるようにしていくことは必要です。
そうすることで、様々なメンバーが新メンバーの状況を把握し、質問・相談に乗ることができますし、各々の立場からサポートをすることができます。
それだけでなく、チーム全体の業務内容や各メンバーの状況などをいつでも見られる状態にしておくことも有用です。
これらの見える化は、新メンバーが組織の全体像を理解することに役立ちます。
具体的な例としては、
・オンボーディング期間のスケジュールや目標は誰もが見られるようにする
・チームメンバーのカレンダー(打合せや業務タスク管理など)をオープンにする
などです。
2-3.組織・チームのビジョン・ミッションを丁寧に説明する
新メンバーが自律した業務遂行を行うためには、業務を立体的に理解する必要があります。
そのためには、新メンバーが担う仕事の背景にあるミッションや目指す姿、組織内の関係性などを理解してもらう必要があります。
これらの理解が低いままでは、テレワークに求められる自律した業務を遂行することは困難です。
立体的な理解を促すために、組織側が丁寧に伝える内容の具体例とは、
・会社のビジョン、ミッション、大切にしている価値観など
・中長期的な戦略
・全社戦略にひもづく部・チームのミッション
・新メンバーが所属するチームの全社の中の位置づけ、他部署との関係
などです。
物理的に会社組織が見えにくいテレワーク環境だからこそ、これらの説明は十分に行う必要があります。
この土台があれば、新メンバーは自律した業務、能動的なアクションを起こしていけるようになります。
まとめ
中途入社者がテレワーク環境下で組織に適応し、成果を発揮していくためのカギは、心理的安全性を感じる組織の中で自律的に、また能動的に業務を行える状態になることです。
そのために企業ができるオンボーディングの工夫について紹介しました。
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