スライド資料の英語チェック 英語の95%をカットした話
私はここ数年、会社内で英語にまつわる仕事をしている。今日お話しするのは、社員さんが書いた英語の「チェック」の仕事なのに、英語を直すのではなく、ほとんどカット、つまり削除した話。
経緯
海外営業部署での英語担当として、少しずつメールや書類の英訳や英訳チェックが増えてきた頃、初めてスライド資料の英語チェックの仕事が来た。
海外パートナー企業とのミーティング時にお互いの参考とする資料で、表やグラフなどに英語で説明が加えられているものだった。
先日投稿したレターのような日本語版はなく、英語の資料だけを見て、気になるところを直すという仕事。(ちなみにそのレターの英訳チェックの話はこちら↓)
スライドの確認
スライドは各営業担当さんが1〜2枚ずつ作って、合計多分8枚くらいあったと思う。
初めは、ちょっとした時制や前置詞を直したりしていた。
やっぱり「スライド」だけあって、図がメインだからあまり英語もなく、すぐ終わるかと思っていた。
そう思って最後の2枚を見た私は絶句した。
1枚のスライドに20行以上の英語がびっしり。
図はなく、文字だけ。それが2枚。
「スライドとは?」を考える
英語びっしりの2枚のスライドを見ながら、
私の頭に浮かんだミーティング風景は、
話す方は「読み上げるだけ」
聞くほうも「目で読むだけ」
というものだった。
二人の目線は交わるのだろうか?
資料はあくまで面談の参考程度で、メインは両社で話し合うことだよね?でもこれじゃ、見た方は聞く気なくすかも…というのが第一印象。
とりあえず、その英文を読んでみて、言いたいことは2つだと分かった。
「もっと密にコミュニケーション取っていこう」
「もう少し情報共有してくれないかな?」
という2点。
この伝えたいメッセージと、実際の面談風景を想像して、ベストな形は何だろうと考えた。
いざ実行
出た結論は、文章を全部消して、図にすることだった。
スライドは2枚から1枚に、
英語は合計40行からたったの3単語に。確か、
Communication と information sharing だけ。
図は、スライドソフトに入っている図形を使ってシンプルな形を2つ、メインで大きく。
これなら、この図をもとにお互い話し合う光景が浮かぶ。
担当者も、会話には問題ない英語力がある。でも念のため、スライド資料のノート部分にさっきの長文を入れたおいた。
うん、これでいこう。
ファイルを添付するメールには、
「最後の2枚は、文章がやや多いように思いましたので、思い切って図にして1枚にまとめてみました。ご確認お願いいたします。」
と書いて、無事伝わりますようにと思いながら送信ボタンをポチッと押した。
返ってきた反応
数分後、事業責任者である、部署トップの上司から返信メールが来た。
「分かりやすくして下さり、ありがとうございます。」
とりあえず、
ああ、これでよかったんだと一安心。
例の長文を書いた人からは直接、
「僕の長々しい英語を直してくれてありがとうございました。」
と、ちょい皮肉。こちらは
「いえ、大きく変えちゃってすみません^^;」
と、低姿勢でかわす。
社内翻訳の醍醐味
スライドを見るまでは、まさか自分が英語を大量に消すなんて思ってなかった。
英語表現を吟味するのが仕事だと思っていた。
でも、英語だけでなく、構成から提案ができる社内翻訳って面白い。
そう思う自分には、やはり合っているんだろう。
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