2023年イタリア語検定1級合格時の作文パート結果と勉強法
こんにちは。
この記事では、2023年伊検での作文パート結果と、それまでの1年間の学習内容のどの部分が作文に活きたのかという面から振り返ります。
試験結果と反省
直近の伊検1級3回分 作文パート結果↓
2020年 10/20点(合格基準12、平均点12.2)
2021年 (受験せず)
2022年 20/20点(合格基準12、平均点12.2)
2023年 16/20点(合格基準12、平均点12.8)
リスニングや筆記のパートは3回かけて少しずつ点が伸びたのに対して、作文は点数の変動が大きいです。
2020年は対策ほぼゼロだったので当然の結果。
2022年はまさかの満点。いろいろと工夫し、地道に書く時間を積み上げ、本番では使い慣れた表現に絞ることでミスの数を抑えたのがよかったのかもしれません。また、自分もよく知っていた昔から定番のテーマに関する意見を述べるだけ、というのも書きやすい要因でした。
2023年はそこから4点も落としてしまいました。
(でもリスニングと筆記合わせて4点アップしたので、合計点は前回と同じ。筆記の基準点をクリアしたので合格したのでした)
今回は試験前に書く勉強時間がほとんど取れなかった上に、作文テーマが新しめの話題で背景知識が乏しいものでした。さらに、意見だけでなく、メリット・デメリットを比較した上で自分の意見を述べなければいけないのも前回より難しいと感じました。
また、新たに学んだ表現を使おうと背伸びをしすぎました。読んで分かる、聞いて分かるけど作文で使いこなすレベルには達していない表現をあれこれ入れすぎました。きっと間違いが多かったのだと思います。いいカッコしようとせずに、文法間違いのない無難な言い回しにした方が減点されにくいのだろうと思いました。
余談ですが、今回は会場の空調にも困りました。
その日は10月とは言え、まだ夏のように暑かったので、薄着で会場に行ったんですね。
すると、隣の大会議室と空調設備が同じで、しかもお隣はスーツ姿の男性が大勢集まるイベント。
すなわち、部屋に熱気がこもる。
すると必然的に、冷房の設定温度は下げられる。
そうして作られた冷気が伊検会場にも流れ込み、受検者数が少ない小さな部屋はそれはそれは効率よく冷えたのでした。
私は寒さで具合が悪くなりかけていたので温度を上げてもらえるか相談するものの、共同冷房なのでもう変えられないと。
幸いブランケットを貸していただけましたが、1枚では足りず、でも余りのブランケットはなく、皆それで我慢しているので、自分も我慢。
そして冷えたお腹がグルグルグル。。
ちゃんと試験前にトイレに行ったのに、試験中めちゃめちゃトイレに行きたくなったんです(涙)
確か途中退室したらもう再入室できないよね?と思いながらひたすら我慢。おでこに変な汗もかきました。
ただでさえ緊張しているのに、余計なトイレの心配で心臓バクバク、手も震え、手汗でシャーペンも滑る滑る。今回も出産時のような深呼吸で抑えたり、また復活したり。
というわけで、書くスピードも落ち、書き間違い連発。消しゴムで消す時間が増えたので、見直し時間はほとんど持てずに試験終了。なんとか最後まで書き上げることができただけでも奇跡だと、ホッとしました。
という事で、受検の際は万が一の寒さ対策、暑さ対策グッズも必要だと痛感しました。今後受検する方は、私みたいにならないよう、要注意です!(試験と関係なさそうでも、実際は影響かなりあります)
できた事・できなかった事
前回受検後の作文に関する記事を読み返してみたところ、作文につながる行動は同じでした。(基本的な作文対策の詳細は↑のリンクから読めます)
できた事は、
・ハロートークでネイティブに添削を受ける
・ハロートークで日本や日本語に関するイタリア人からの質問にイタリア語で返す
・ながら聞き
・文法演習少し
・隙間時間にSNSで社会問題関連の投稿を読む
・寝る前に少し読書
圧倒的に不足したのは
・手書き(筆記体)でたくさん書く
・写経や精読
もう致命的ですが、わかっていた事。
それでもSNSで毎日イタリアやヨーロッパの社会問題を追いかけていたので、テーマごとに自分の意見を予め用意することができました。
その為、今回も作文の指示文を読んで割とすぐに下書きを描き始めることができました。
自分の意見を持つ
イタリア語検定の作文問題では「あなたの意見」「あなたの視点」が必要になることが多いです。
しかもテーマは必ず、社会的な話題。
作文では、意見の内容によって評価が分かれることはありません。
例えば、「◯◯が必要だ」「◯◯は必要ない」はどっちでもいい。問われている内容にハッキリと答え、そのイタリア語が文法的・用法的に正しければいればいいんです。
私が初めて1級を受けた頃(約20年前)は、社会の問題に興味もなく、意見の元となる知識もなかったので、試験中の心の中は
「うーん、よく分からない。考えたこともないなぁ。じゃあ今考えるか。……。あれ?そもそも、このテーマって何が問題なの?」
と、天井をボーッと見上げて時間が経過して、書き始めたと思ったらすぐに試験時間終了になって、規定の単語数にも届かないまま、文章も途中のまま、提出したこともあります。そりゃあ点も取れません。
試験を受ける前から意見を持っていれば、あとは書くだけです。
意見を持つには、基礎となる背景知識が必要。
それを身につけるには、日頃から興味を持つ事が必要。
自分の意見を持てない人は、ちょっと困っている事、ちょっとした疑問をなぜなぜと深掘りして調べていくと、負荷なく背景や歴史を知る事ができて意見を持てるようになると思います。
私はもともと伊検と関係なく、身の回りの困り事を解決するために①調べ、②解決策を試す、この2つを繰り返していたことで、いつのまにか自分の価値観が作られ、意見を持てるようになりました。調べる沼にハマると、どんな事も社会的な内容に辿りつくのだと気づきました。
多分野のイタリア語に触れる
作文問題のテーマは、自然、環境、技術、社会生活、教育など、多岐にわたります。
普段から様々な話題に触れるようにして、語彙を増やしたり、自分の考えを持つ癖をつけておくと、試験当日に慌てる事なく、どっしりを構えて文章を書くことができます。
前回受検時の対策として、様々な分野を取り上げているイタリアYouTubeチャンネルを見ていましたが、今回はSNSのXで一般のイタリア人アカウントの投稿をほぼ毎日チェックしていました。コメント欄で意見がぶつかっている時などは、どちら側の発言も参考になりました。
「なるほど、こういう表現で意見を述べるのね」と、文の構成と語彙のセットで頭に入るので、あとはその都度単語を変えれば応用が効きます。
Xは関連の投稿も表示されたりして、隙間時間に見るたびに新しい発言を読めるのがいいですね。
注意点は、刺激的なのでついつい見過ぎてしまうことです。隙間時間のつもりが結構な時間が経っていた、なんて事もあったので、これはハマると怖いなと思いました。今は見る頻度はかなり落として、毎日から週1程度に抑えました。
添削してもらう
作文力を最も上げたのは、自分が書いた文章の添削を受けたことです。
自分で書くだけでは、間違いや不自然な表現を検知できないので、誰かに見てもらうとすごく勉強になります。
私は語学交流アプリのハロートークを使っています。単に添削を受けるだけでなく、こちらも添削する時に考えたり、交流するのが面白いから。
今回一次試験を受けた後に知った事ですが、文章の添削をプロにお願いする方法もあるんですね。探すと意外と、短い文から添削してくれるサービスもあるようです。有料ですが、文法間違いのない正しい文章に直してくれること、しっかりした解説も期待できる事が良い点と思います。
ハロートークは、お互い無料で添削し合える代わりに、相手は教師ではない一般の人々なので(中には教師の人もいます)、解説までは期待できません。時々解説してくれる人もいれば、「だってそういうものだから」のみの人もいます。それはアプリの性質上、当然なので、不満はありません。
今回はアプリを開く時間もあまり持てず、自分で作文する機会が少なかったですが、例えば家族で出掛けた際のトイレ待ちの時などにちょこっと投稿したり、お祭りなどの写真を紹介したりしました。それだけでもイタリア語作文の力をキープできると思います。
今後、添削内容の解説がもっと欲しい時は、プロの先生にオンラインで聞いてみたり、最初から添削してもらうのもいいなと思います。
読解力を高めておく
伊検の作文のパートでは、問題文の中に、テーマの概要や、作文に関する具体的な指示が書かれています。ここを正確に読み取っていないと、聞かれている事と作文との間にズレが生じます。
1〜3回目の1級受検時は、問題文を理解する力が不足していたので、「多分こんなテーマで、こんな事を聞いているのだろうな」と想像した上で作文を書いていたので、全く答えになっていなかったのだろうなと思います。
そうならないために、読解力を上げる必要があります。
今回の伊検前は読み書きの時間が取れなかったので8割耳からの学習でした。それでも、聞く学習によって読むスピードが上がりました。おそらく読解力も上がっていたのではと思います。
つまり、
聞く力アップ → 読む力アップ → 書く力アップ
という連鎖が生まれていたのだと思います。
(リスニングによる詳しい効果はこちら)
まとめ
以上がイタリア語検定作文パートに関する学習内容でした。
今回、読み書きの学習時間は取れなかったものの、後悔はないです。他に優先すべきものがあったから。
できない事はいさぎよく諦めて、絶望せず、できる範囲で、できる事をやる。
私ができた事は、
・ながら聞き(オーディブル、YouTube)
・隙間時間のチョイ読み(SNSのX)
・文法演習ほんの少し
・隙間時間の短文投稿(ハロートーク)
・寝る前のつまみ読み
でした。
こういう内容なので、「今年こそは合格したい!」なんて少しも思いませんでした。そんな期待をしたら、ガッカリして自分を苦しめるだけ。
実際、受検5回目(15年前)までは、全然勉強してないのに期待だけは大きいから毎回自分に失望して、嫌になってイタリア語から離れ、試験前に慌てて少しだけ勉強するを繰り返していました。
この無限ループから抜け出せたのは、英語のやり直し勉強の中で、やり方だけでなくマインドも整える事ができたからです。
期待しないと言っても、どうせ不合格だしな、と悲観することもありませんでした。そんなイメージは成長の妨げになります。
2020年以降の私にとっての伊検受検は、自分の学習内容でどのくらい成長できるのかを把握するための、チェックの機会でした。点数は少なくともキープ、1点上がればいい方だと思っていました。
むしろ目標としたのは、学習の習慣づけ、学習時間の積み上げを地道に続けることでした。ダイエットと同じで、例え数字に現れなくても続ける事でいつか変化があるはず。続けているうちに気づいたら合格ラインを超えていた、となればいい。そう思っていたら、今回一次試験に合格できたという流れです。
こんな人もいるという事で、参考になれば幸いです。それではまた!Buon apprendimento!
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