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【対談音声付き】ツギノタネ vol.2(ROOTS・京都府京北)
今回のテーマは「ツーリスト(観光客)とトラベラー(旅人)の大きな違い」「インバウンドのツーリズムをどうデザインしていくのか」です。
それでは本編をどうぞ。
次の旅先は?
1月に福島県郡山に行き、2月の目的地を奈良にしようかと思っていた矢先、スマホをいじっていると株式会社ROOTS(京都府・京北)の曽 緋蘭(ツェン・フェイラン、以下 フェイラン)の誕生日投稿が目に入った。
フェイランとの出会いは、2022年6月18日に京都のQUESTIONで開催した『おもしろい地域にはおもしろいデザイナーがいる』の書籍販売記念イベントだった。
フェイランとは初めましてだったが、一緒にROOTSを中山 慶(以下 慶くん)とは、2016年トランクデザイン塩屋店でのイベントに来てくれたことが始まりで、偶然ばったり会うぐらいでイベントで一緒に登壇できるのは嬉しい機会だった。
その京都でのトークイベントで二人が、里山が広がる京北で海外の方々の受け入れや、地域課題に対してどう向き合っているのかの話を聞かせてもらい「いつか行かなくては!」と思っていた。
フェイランの投稿におめでとうを書き込みつつ、すぐに明日京北に行ってもいい?と連絡すると、快く「来てもいいよ!うち泊まりなよ!夜はうちで水餃子食べよう!」と返事をもらった。
一度しか会ったことないのに長年の友達のように連絡を返してくれることにすごく嬉しい気持ちになった。
京北は、京都府右京区の北部で京都の中心地から車で1時間という街に近い里山エリア。
今回はROOTSが京北でどんな活動をしているのか、そして何を考えどんな未来を見据えているのかをインタビューした。
京北の木工会社が営むMushRoom Cafeでランチトーク
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神戸から車を走らせること2時間ちょっと、山道を走り、ツーリングを楽しむバイクと手を上げて挨拶をしながら京北に向かう。
田んぼが広がる山の麓にある360度パノラマの大自然オープンデッキカフェ『MushRoom Cafe』で待ち合わせた。
このカフェは、村山木工が運営をしているクリエイティブスペース&カフェで、里山の風景を見ながら仕事ができるコワーキングスペースにもなっている。
村山木工は、1991年から指物の技術で節句飾り、茶道・華道道具、調度品といった伝統工芸品を製作してきたが、今では照明などが高級ホテルで使われている。
ROOTSの活動もそうだけど、村山木工も自然に囲まれたいわゆる田舎でグローバルな事業をしていることに興味が湧き始めた。
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ここでランチをしながら、会うのが2回目とは思えないほど会話が弾む。
気軽に話せる雰囲気と社交性を持っているフェイランは、中国にルーツがありサンフランシスコで社会課題型のデザインを学んだ。日本に帰国後、オムロンの工業デザイナーとして勤務。京北で茅葺き屋根の家に出会ったことをきっかけに移住し、京北での活動を始めた。
その活動がきっかけで慶くんと出会い、オムロンを退社し株式会社ROOTSを立ち上げた。
日本という枠に捉われず、国際的に活動し里山という日本独特の文化や環境に身を置いていると「そりゃ社交性もあるよな」と思い、まずはお互いこれまでやってきたことや、今取り組んでいるプロジェクトについてあれやこれや話していく。
尽きない話にもそろそろお時間が。
村山木工の木工所を見学させてもらい、その足でROOTSが運営する民泊宿へ向かった。
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きれいにリノベーションされた日本家屋だけど、残すべきいいところは残されている。庭にサウナがあったり、2階はワークショップができる広々としたフロアがあったり、置いてある家具や備品はフェイランのセンスが光っていた。
会社やプロジェクトの合宿をするには最高の場所で、いつか合宿したいなと妄想を膨らませつつ、いよいよフェイランの自宅へ。
築250年の茅葺き古民家と水餃子
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築250年、江戸中期に建てられた茅葺き古民家。
裏には畑と山があり、鶏が鳴いている。里山らしい暮らしがそこにあった。
観光するだけでもこういう光景を見れたりはするかもしれないが、「旅」をするからこそ現地の暮らしの中に入り込ませてもらえる。
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薪ストーブに火を入れて、フェイランの娘さん二人とお母さんが加わり、お茶を飲みながら水餃子の準備が始まった。
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餃子の皮を作るところから始まり、餡を包む。
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囲炉裏を囲んで熱々の餃子をみんなで楽しみながら、お母さんおすすめの紹興酒が餃子によく合う。盃を片手に海外事業についてディスカッションしつつ夜が更けていった。
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少し雨が降る朝を迎えると、お母さんが部屋に朝ごはんを届けてくれた。
縁側で庭を眺めながらコーヒーを飲み、いよいよ慶くんの自宅へ。
ROOTSのお二人をインタビュー(音声コンテンツ)
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到着後、まずはお茶を一杯いただき、ほっと一息ついてインタビューモードに切り替える。
僕と慶くんとの出会いの話からはじまり、慶くんとフェイランのこれまでのバックグラウンドについて聞いていった。
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