音楽で生きる3

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前回はサロンコンサート

お客様が一桁のサイズのコンサートのことについて書きました

今回は大学を卒業したての川上の修行のような思い出を書きます。


はい、この銅像はなんでしょうか??


タイタス・アンドロニカス、という演劇で使われたセットの一部です。


大学五年生(一浪1ダブ)卒業時に打楽器専攻の後輩の渡邊理恵から


演劇の仕事ってやってみませんか?

と。


演劇なんて学芸会でしか知らず、お金を払って観に行ったこともございません。
本当にどんな世界かも知らず、来るもの拒まずで軽い気持ちで

やるよー

と答えました。


じゃ、連絡先伝えておきますね〜ってことになりまして、

しばらくすると連絡が来ました。



読めません、お名前が、、、。

当時の僕は世間知らずで、音楽のこと、しかもクラシックや吹奏楽、ちょっとしたグレンミラー楽団、ベニーグッドマン楽団、カウントベイシーなどのビックバンドしか聞いてませんで、本当に視野の狭い自分でした。


で、書いてあった名前が



蜷川幸雄 演出


読めませんでした。へびがわさん、ひるがわさん?
しかも存じ上げませんでした。


ふーーーん、どこでやるんだろう、あー渋谷の文化村ね
シアターコクーン??オーチャードは知ってるけどな。


台本が届きました。

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「欲望という名の列車」
出演者 大竹しのぶ、寺島しのぶ、堤真一、六平直政、、、、、


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ちょっと待ってー


芸能人だらけやん

で、小説を読もうとすると字がぐにゃぐにゃになって読めない(生まれつき?)川上はテンパりました。


楽譜って、、、、?


即座にメール。

帰ってきた答えは

1ヶ月稽古をするのでその間に考えましょう、と



作曲家さんはいらっしゃるのか、、、
台本の読み合わせが今度ある、参加してくれと。


で、当時はインターネットもそんなに普及していません、2002年のことですから。

雅那子携帯カメラ 050


パソコンも持っていなかったしガラケーのi modeが始まった頃なので、蜷川さんのことも何にも知らず芸能人の集う顔合わせ、台本読み合わせに参加しました。


恵比寿の某スタジオに集まり、一応楽器も持って行きましたよ。


テレビで見た芸能人がいらっしゃいました。
取り巻きに囲まれながら、何人マネージャーおんねんwって思いました。


で、各個人のご挨拶から。

大竹しのぶさんから始まり台本のお名前の順で

最後に川上の出番です。

右も左もわかりませんがトランペットだけは吹きます、よろしくお願いします、
的なことを言ったと思います。

で、蜷川さんが一言

「景気付けになんか吹いてよ」と


聖者の行進を吹いたのを覚えてますが、

「そんな明るい陽気な演目じゃねぇんだよ」と


景気付けって言ったじゃん!!

って生意気にも思いつつw

台本の読み合わせが始まりました。

そこから睡魔が。。。

字がグニャって小説読めないし台本なんて見たの初めてやし




まぁそんなこんなで何にも川上は出番がない台本読みは終了しました。

二日後ほど経ってさて、舞台稽古はじまります。


川上は三メートルほどの脚立の上にトランペットと台本を持って座れとの指示が。


蜷川さんが「はい」って手をパチンと叩かれます。

ゴーングワーンキシーン、、、ゴロゴロドーン
何か効果音が、、、、、

で、蜷川さんが川上に向かって


「音っ!!!」


川上、「へっ??」とびっくり


蜷川さん手をパチンと叩く
「音って言われたらなんか吹けよっ!!!!」と怒鳴られました。


そこでやっと川上は恐怖のどん底にw

そうか、そういうことなのね、、、、


とりあえず「台本に書いておきます!」と答えるのが精一杯


全て1から作るってそういうことなんですね〜

そこから毎日が、みなさんの役作り、演技、全てを把握できないとどんなことをやればいいかわからないと演出助手の方々に支えられて、音響チームの方々を連携を取り、川上のトラで来ている柴田直人とともに毎日お昼から22時まで考えに考える魔の1ヶ月でしたw


「違うんだよ〜、夕日に照らされてる砂漠の錆びて朽ちてるドラム缶の音が欲しいんだよな〜」とか


「お前、大嫌いな奴のこと考えて音出せよ〜」とか


「ねちっこいしつこく喰いついてくる奴が気が狂ってる音出せ」とか


芸大で習ったことってなんだろうって本当に思いました。


楽譜って何?

本来の形の逆ですね。
楽譜って何かを表現するために出した音を形として残す手法なんです。


台本はいるけど楽譜なんてこの現場にいらないんだって学びました。


その時の感情や気持ちを読み取り怒りの音を出すだけでなく
残虐なシーンだからこその逆を狙った美しく奏でること


その時の楽譜がこれ



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はい、台本にイメージのみを残して毎日吹いてはダメ出しされ、次の日にまた違うことをする。

それと録音を頼りにまた違うことをやって、、、の繰り返し


1ヶ月でしたが、芸大の受験より大変でしたw
楽譜通りにいい音で吹ければいいんだからwwww

そんなこんなで無事本番も終わりまして、

http://www1.odn.ne.jp/~ccy50480/yokuboh2.html

こちらに少し観劇のレポートがありますので、色々思い出しました。


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こんな記念撮影もしていただいて、

めでたしめでたし。


そして冒頭の写真の

「タイタス・アンドロニカス」
「マクベス」NY公演(音だけ)
にも参加させていただけました。



蜷川さん、もうタバコをやめられてて灰皿こそ投げられませんでしたが


「お前、目も悪いしのんびりしてるから今日から『のび太』って呼ぶ!」
って怒られたあの日が懐かしいです。

福岡で現地の友人とコキンちゃんって屋台にいたら偶然いらしてお代を全て払っていただいて、、、ごちそうさまでした、ありがとうございました。


もう戻れない尊い日々でした。


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そんなレアな現場を経験しつつ、他ではかなり真面目にふざけたことを頑張っていました、続く


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川上鉄平
頑張って防音室を効果的に使うための機材などをかき集めています。自分の勉強、研究は後輩の指導につながり、トランペットという楽器を通じて音楽を多くの人に愛されたいと思っています。よろしくお願いします