星ヶ丘高校吹奏楽部の物語(12)
早苗先輩は自己紹介のあと、この吹部で配られている音階、基礎練の楽譜を配ってくれた。美紅は体験練習のときに教えてもらっていたのですぐに吹くことができた。しかし太郎ははじめて吹くため、3年生の山田奏楽先輩から教えてもらっていた。太郎も経験者らしく奏楽先輩から教えてもらうとすぐ吹くことができていた。美紅は太郎とまだ1回も話したことがないのだった。同じ学校ではなかったため接点がない。太郎は近寄りがたい雰囲気を出しているため美紅は声をかけられずにいた。美紅は早苗先輩に、里愛は実子先輩に基礎練などを教わった。
その練習をしていると、この日の練習は終わった。最後に顧問の白井先生からの話があった。
「1年生のみなさん、吹奏楽部はどうでしたか?今年もたくさんの1年生が入部してくれて先生はとてもうれしいです。これから大変なこともあると思いますが、一緒に頑張りましょう!」
「はい。」
美紅は実羽と一緒に帰り道を歩いていた。
「実羽はフルートになれた?」
「うん!中学のときも一緒だった高橋結菜ちゃん覚えてる?その結菜ちゃんとおんなじパートになったよ~」
「へぇ~私は吉田里愛ちゃんと一緒のパートになったよ!その里愛も中学のときから一緒。」
美紅と実羽はお互いのことを報告しあいながら帰った。
「早くあのかっこよかった合奏に入りたいね~」
「うん!」
実羽は、美紅と同じく毎日体験練習に参加していたため、もちろんその合奏も聞いていた。
「今、この吹部では『Paradise Has No Border』っていう曲やってるじゃん、私その曲大好きなんだ~。実羽この曲は好き?」
「うん!だって最初メロディーがかっこいいも~ん!」
「だよねぇ~やっぱり自分の担当楽器のメロディーとかがかっこよかったらその曲好きになっちゃうよね~」
「うん!やっぱり(笑)」
~登場人物紹介~
星ヶ丘高校吹奏楽部
白井里咲(顧問)
<3年>
田中早苗(トランペット・パートリーダー)
井上実子(トランペット・副パートリーダー)
山田奏楽(トランペット)
<1年>
佐藤美紅(トランペット)
吉田里愛(トランペット)
藤原太郎(トランペット)
鈴木実羽(フルート)