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レッスンや合奏練習に必要な3つの視点

合奏やレッスンを受けていて、先生や指揮者に言われた情報が処理できずにだんだん混乱して何度も同じことを指摘されてしまうこと、ありませんか?

「そこはスタッカートで演奏しましょう」
「その部分はフォルテだよ」
「フレーズ感をつけて」
「あ、また音が長くなってる。スタッカートだからね」
「フォルテに聞こえないよ、それだとpに聞こえちゃう」
「スタッカートはできてるけど、またフレーズ感がなくなっちゃった」
「フレーズを意識するとどうしてもスタッカートがなくなっちゃうね。ってかそこフォルテね。」

これは、記憶力が悪いのではなく、先生からの言葉の受け取り窓口が1つしかないことが理由だと考えます。

ではどうするか。音楽においては特に、3つの視点を持ってレッスンや合奏練習に臨むことをオススメします。

3つの視点

視点1:自分に向けた意識

「相手からこんなことを言われた」と認識する力です。これはレッスンが合奏練習時にもほとんどの人が持っていると思います。ただ、逆に言えば上記のような堂々巡り状態になるのは、この視点しかないからです。言われたことをそのまま記憶・記録しようとする感じ。
ただ、この記憶メモリ容量はとても少なくて、例えば電話番号を同時に3つも4つも覚えろと言われて大変ですよね。

最初に書いたようなフレーズとアーティキュレーションとダイナミクスについて同時に指摘され、どこかに意識を強く向けると、他が疎かになってしまう理由はこれです。

視点2:客席からの客観的視点

どんなに狭い練習室であっても自分の正面に客席があるとイメージして、その客席の中にもう一人の自分を置きます。果たして客席にいる自分は、楽器を持っている自分の演奏に満足するでしょうか。

客席にいる自分は、この演奏を楽しみにして、わざわざスケジュールを調整してチケット購入して、電車に乗ってここまで来たわけです。期待大なのです。「こんな演奏してほしいな」「こんな音が聴きたいな」とイメージを膨らませているのです。その客席の自分が喜んで、たくさんの拍手をしたくなる、そんな演奏を心がけます。

そのためには、音楽的イメージがまとまっていること、理想の完成した表現することが必要です。

視点3:俯瞰した視点

怖い…

若干気味悪いかもしれませんが、幽体離脱した自分がその空間全体を見渡しているような俯瞰した視点です。この視点の重要任務は「まとめ」をすることです。

常に「要するにそれって」とすべての情報をまとめてひとつの完成形を作り出すことをしています。

冒頭のレッスンやりとりで言うならば、「スタッカート」「フォルテ」「フレーズ感」の3つを指摘されていて、いつもどれかひとつだけにクローズアップしてしまったために他の2つがおそろかになっていたわけです。そこでこの幽体離脱が登場します。

「要するにそれって、こんな完成形を先生はイメージして、望んでいるわけだよね」

まとめる力を持っていることで、相手のイメージを与えられた情報を駆使して自分の中に瞬間的に再構築できます。そのイメージが先生やと近づけば近づくほど「そう!それそれ!そういうこと!」と言ってくださると思います。

いかがでしょうか。先生や指揮者の言葉を取りこぼさずに受け止め、それをどんどん合体させて「要するにそれってこういうことだよね」と完成形をアップデートし続ける。さらにそこからイメージした自分の納得する表現を客席の自分に向けて大いに発信・表現する。

レッスンや合奏というのはいくつもの視点を用意する必要があるため、正直頭も心もかなり消耗します。それくらい集中力や柔軟性を必要としている恋なのでしょう。

これから吹奏楽コンクールに向けた合奏練習も増えると思いますし、コンサートも多いと思います。レッスンを受けている方、合奏に参加する機会がある方は、今回のお話しをぜひ現場で思い出して実践してみてください!


荻原明(おぎわらあきら)




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荻原明(おぎわらあきら):トランペット
荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。