花井光誠

米国で暮らす中国人の民主化運動家たちと繋がりながら、米中関係を中心にアジア情勢全般を観察している。サイバー空間における情報のモニタリングを通して、ホワイトスパイ的に分析する。諜偵家。

花井光誠

米国で暮らす中国人の民主化運動家たちと繋がりながら、米中関係を中心にアジア情勢全般を観察している。サイバー空間における情報のモニタリングを通して、ホワイトスパイ的に分析する。諜偵家。

最近の記事

  • 固定された記事

中国はどこへ向かうのか ~国際社会は心の準備をするべきだ~

米中貿易戦争はハイテク戦争にも発展し、のみならずトランプ政権は新彊ウイグルの人権問題で中国共産党へ制裁を発動し、一方香港では持続的な抗議運動が起こっている。いまや自由という価値観の是非をめぐり、米中両陣営による新冷戦とも言うべき状況が生まれはじめ、世界は鳴動している。 かつて劉暁波のノーベル平和賞受賞に際し、劉暁波の代理としてオスロでの式典に出席した楊建利は、2016年11月にトランプが米大統領選に勝利すると、米国の力を使って中国民主化を実現すべく、トランプに政策方針書を提

¥2,300
    • 習近平が仕掛ける虚偽と幻想の宣伝戦略

      世界各国の報道を監視する国境なき記者団は、中国共産党の宣伝の悪影響について民主主義各国に繰り返し警告を発してきた。 たとえば5月3日は国連が定めた報道の自由の日だが、2020年5月3日、国境なき記者団は中国共産党のことを「報道の自由の最大の敵」として強く非難し、各国に対応を求めた。 これは一党独裁のもとで弾圧される中国人たちにとって「最大の敵」というだけでなく、民主主義各国にとっても中国共産党の宣伝は「最大の敵」だという警告である。国境なき記者団で東アジア事務局主任を務め

      ¥1,400
      • 劉暁波の精神とバイデン時代の米中新冷戦

        あれからまだ1年8カ月しか経っていないのに、ずいぶん遠くのことのように感じられる。当時はまだ感染に怯えることもなく、人と会えば躊躇いなく握手していたから。大声をあげ、叫ぶこともできた。 2019年9月上旬のことだ。当時、香港では大規模なデモが続いていた。世界的な金融街の香港で、自由を求める若者たちの雄叫びが、悲鳴が、仲間を呼ぶ声がこだましているとき、一人の著名な中国人の民主活動家が飛行機で東京に降り立った。彼の名は楊建利。曾て劉暁波がノーベル平和賞を受賞した際、獄中の劉暁波

        ¥950
        • 打倒習近平に向けた戦いの号砲 ~任志強と党内の反習勢力からポンペオまで~

          中国共産党の中央党校は、党の高級幹部を養成するための特別な機関である。蔡霞はその中央党校で教授を務めていた。彼女について「務めていた」と過去形で記すのはそれなりに訳がある。 6月2日のことだが、ある興味深い録音がユーチューブで公開された。投稿者は張杰、彼は打倒共産党を目指す反体制の評論家で、いまは米国で暮らしている。その張杰が投稿したのは、中国共産党内の某グループの人々が行った秘密会合についての録音である。 録音のなかで喋っている人物こそ、ほかならぬ蔡霞だった。「中国共産

          ¥1,600
        • 固定された記事

        中国はどこへ向かうのか ~国際社会は心の準備をするべきだ~

        ¥2,300

          香港デモと情報戦争(2) 香港の若者は何と闘っているのか

          新型コロナウイルスの封じ込めで卓越した成功を収めているのは、台湾だけではない。香港もまた、感染の封じ込めで見事な成果を出している。だから香港では、4月下旬になってデモが復活している。 のみならず、ここに来て香港情勢は緊迫の度合いを一気に高めた。香港のデモを警戒する北京の習近平政権は、5月22日の全人代(全国人民代表大会)の開幕に合わせ、香港に対する国家安全法を全人代が制定すると発表したのだ。 一国二制度のもと、大陸とは違う独自の法体系による統治がなされてきたのが香港である

          香港デモと情報戦争(2) 香港の若者は何と闘っているのか

          ウイルスと情報戦争(2) ~台湾の防疫成功と中国共産党の壮絶な欺瞞~

          新型コロナウイルスの脅威が世界を覆い、各国が感染防止に苦慮するなか、台湾は抜きん出た成功を収めている。5月6日時点の数字で言うと、台湾当局の公表により確認された感染者数は累計でわずか439人に過ぎず、他国と比べて圧倒的な少なさだ。 台湾のこの数字がいかに驚異であるか、これはたとえば韓国と較べても明らかだろう。韓国もここに来て感染封じ込めにほぼ成功したとして国際社会から賞賛されているが、その韓国でさえ累計の感染者数は1万を超えている。これに対し、台湾は累計の感染者数がわずか4

          ¥1,200

          ウイルスと情報戦争(2) ~台湾の防疫成功と中国共産党の壮絶な欺瞞~

          ¥1,200

          ウイルスと情報戦争(1) ~武漢ウイルス研究所P4実験室の謎~

          祖国の民主化を目指す海外の反体制派中国人たちと繋がりがある私としては、彼らの言葉を日本の人々に伝えたいと常日頃から思っている。このことは、日本の危機管理の観点からも重要だろう。 新型コロナウイルスの猛威が加速するにつれて、中国共産党によるプロパガンダと隠蔽の酷さも増しているのだ。そして反体制派の活動家たちほど、中国共産党の体質を知り抜いている人々はいない。 武漢で発生した新型肺炎の正体はなんなのか? 海外の反体制派中国人たちの間では、この新型コロナウイルスは人民解放軍と繋

          ¥700

          ウイルスと情報戦争(1) ~武漢ウイルス研究所P4実験室の謎~

          ¥700

          気候変動問題でチベットから世界への警告(予告篇)

          スペインで開催された国連の気候変動枠組み条約締結国会議(COP25)には、ダラムサラのチベット亡命政府代表団も参加し、パネルディスカッションおよび記者会見が開催された。 ところが、チベット亡命政府代表団の存在感は非常に薄く、国際社会がチベット人たちの声に耳を傾ける気配は極めて乏しい。このことは、「残念ながら」で済ませられることではない。 チベット亡命政府代表団は、気候変動の問題で極めて重要な警告をしたというのに。 そもそも、COP25にダラムサラのチベット亡命政府代表団

          気候変動問題でチベットから世界への警告(予告篇)

          実在と存在の狭間で ~亡命チベット人の詩の本懐~

          そこはチベットとインドの国境付近の山岳地帯、祖国を追われた民は、辺りを注意深く観察しながら、目印をつける――テンジン・ツゥンドゥの詩集『独りの偵察隊』は、このように始まる。 彼には明確な確信があるが、しかしその彼は明確な不在のなかに投げ込まれている。自分はチベット人であるという自己証明と、この世界にチベットという国は存在しないという、そんなホームの不在。 それにしても、どんな作品でもいったん読み終えて暫く経った後、時を経て再度読んでみると、最初に読んだときは気づかなかった

          実在と存在の狭間で ~亡命チベット人の詩の本懐~

          香港デモと情報戦争(1) 香港三合会を束ねるは江沢民派の曽慶紅、無差別暴行の先にあるもの

          香港のデモの様相が大きく変化するきっかけとなったのは、7月21日のことだった。 この日、香港では主催者発表で43万人が街頭などに繰り出し、香港政府への抗議デモを行った。その際、白シャツを着た集団が香港の元朗で無差別に市民やジャーナリストを襲い、暴行を働いた。その映像は多くの人に衝撃を与えた。 以下は、香港のための英国人(ブリッツ・フォー・ホンコン)という北京への圧力団体の共同創設者であるジャック・ヘイズルウッドがツイッターで投稿した映像だ。 ヘイズルウッドは反体制派の中

          ¥400

          香港デモと情報戦争(1) 香港三合会を束ねるは江沢民派の曽慶紅、無差別暴行の先にあるもの

          ¥400

          大阪大学での特別講義と中国人留学生の変化について

          6月17日、大阪大学教授の深尾葉子先生の招聘により、私は大阪大学で特別講義を行った。私にとって、大学で講義をするのはこれが初めてだ。 深尾先生の学部ゼミ生、更には大学院生たちを対象に、4限目と5限目の二コマで講義を行った。教室には、中国からの留学生たちも少なからずいた。またIWJの方もいて、私の講義の模様の撮影が行われた。 講義の内容だが、日中関係と米中関係について、情報隠蔽と情報戦争の実態をテーマに私が解説し、学生たちの情報リテラシーを磨くことを目的とするものである。

          大阪大学での特別講義と中国人留学生の変化について

          グレートファイアウォールを破壊するために

          米中関係は緊迫し、アジア太平洋が激動しつつある今、弁舌に長けた一人の説客が意気盛んにインターネット上で遊説している。彼の目的はただ一つ、米国の力を使って中国の民主化を実現すること。 郭文貴は、弁士である。非常に複雑で難しいことも、彼の舌にかかれば実に巧みに料理される。 かつて春秋戦国時代、中国では蘇秦や張儀を筆頭に、弁士たちがその巧みな弁舌によって政治を動かしたが、21世紀のいまはサイバー縦横家が出現したといえるだろう。インターネットで動画を配信できるいまという時代は、弁

          ¥650

          グレートファイアウォールを破壊するために

          ¥650

          5月31日の中国人反体制派ツイッター大虐殺

          ツイッターは、米国の民間企業のはずである。しかし、そのツイッターが中国共産党の圧力のもとにあるとしたら?  このことは米議会でも取り上げられ、特に中国委員会で議長を務めるルビオは、ツイッターで中国人の主要な反体制派のアカウントが凍結される事態を重く見てきた。 だが、この2019年5月31日に起こった事態ほど大規模なものはない。この日ツイッターでは、主に海外で暮らす中国人の反体制派を中心に、およそ3万人ものユーザーが突然ツイッターのアカウントを凍結された。 おりしも、天安

          5月31日の中国人反体制派ツイッター大虐殺

          +7

          天安門広場の自由の女神

          天安門広場の自由の女神

          +7

          米国の政府・議会を動かす中国人の民主活動家たち

          中国共産党に強硬な姿勢で臨むトランプ政権と連邦議員たちの間で、中国人の民主活動家たちが小気味よく暗躍している。彼らを抜きに、米中関係の行方を論じることはできない。 かつて劉暁波のノーベル平和賞受賞に際し、獄中にいる劉暁波の代理としてオスロの会場に赴いた楊建利は、2016年の秋にトランプが大統領選に勝利すると、米国の力を使って中国民主化を実現すべく、トランプに政策方針書を提出した。 いまや米政界における楊建利の影響力はかなりのものになっている。たとえば2018年10月4日に

          ¥900

          米国の政府・議会を動かす中国人の民主活動家たち

          ¥900