【営業マーケ手法の違い(乗用車vs商用車)】
今回は乗用車と商用車で営業・マーケティングの方法が異なる事について書きたいと思います。
まず初めに乗用車と商用車の違いは↓
・乗用車は人の移動やドライブを楽しむ事で車を消費していく消費財で「娯楽に使う車」
・商用車はビジネスとして貨物を運んだりと車が利益を動かす生産材で「働く車」
↑で分かるように同じ自動車と言う物ですが購入する目的が違うので、乗用車と商用車の営業・マーケティングの手法も異なってきます。
乗用車メーカーがワールドカップのスポンサーになり試合中にブランド名が入った看板を試合中に目に入る様に出したり、好感度の高い俳優を起用してオシャレなCMを作成したり、SNSを充実させているのはAIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)と言うマーケティング手法を用いている為です。
*もうAIDMAは結構古い手法
ざっくり言うと、
TVやスマホの画面上に広告を出しブランドを知ってもらい、商品のイメージに沿うカッコいいCMを作成して「欲しい!買いたい!」と言う欲求を視聴者に持ってもらいます。
そして、商品に興味のある視聴者に販売店まで足を運んで貰い、実際に車を見て貰いながら販売店の営業担当が商談を纏めていきます。
もう1つ大きな特徴としては購買者の性質です。
・・と言うかこっちの方が重要だな。。
乗用車の購買者は「不特定の多数」です。
基本的には乗用車は1人1台あれば十分で1人で何十台や何百台も車を持つ人はいないと思います。この「不特定の多数」にアプローチするにはテレビやスマホと言うマスのメディアを使う必要があります。買うかどうかも分からない1人1人に「カッコいい車があるので買いませんか?」と営業を行うのは非常に効率が悪いですよね?
一方、商用車のテレビCMなんて殆ど見る事ないですよね?
日野の2トンのCMが話題になり、あの効果で日野の販売台数が伸びたとも言われますが極めて限定的です。あのCMはかなりヒットしましたが毎回ヒットするかは分からずテレビCMの費用対効果は余り高くないと思われます。
*日野の2トンのCMで取り込めた需要層は自家用の小型トラックのセグメントです。価格も中大型よりも安いので購買決定に個人の嗜好が入る余地のある層です。
↑の様な事もあり日本の商用車メーカーはテレビCMの様なマスの広告を殆ど使いません。
なぜなら商用車の購買者は「特定者」だからです。
トラックを購入してくれる購買者は運送会社、建設会社、食品会社など既に分かっており、乗用車と比べるとお客さんの数は少ないですが、1つのお客さんが100台や1000台も購入してくれます。
そのお客さんを訪問して、関係を構築して商談を行います。
購買決定権を持つお客さんがテレビCMがカッコよいから販売店に足を伸ばすなんてことは絶対にあり得ません。お客さんの会社が大きければ大きいほど、トラックが自社にとってどれだけの利益を生むのかを細かく計算して購入を決定します。
販売店に商談スペースもありますが、主に商談を行うのはお客さんのオフィスで行います。
お客さんを見つけて訪問、商談を行うのです。
乗用車ビジネスは販売店にお客さんに来てもらい商談を行いますが、商用車ビジネスはお客さんを見つけ出し、訪問して商談を行うのが一般的になります。
優秀な商用車の販売店の営業マンは常にお客さんを訪問しています。
乗用車
商用車
最後に纏めると、
乗用車のお客さんは「不特定の多数」である為、テレビCMの様なマスの広告を使い販売店に来るようにマーケティングを行う。その後、販売店の営業スタッフが商談を纏める。
一方、商用車のお客さんは運送会社などの「特定者」である為、そのお客さんを見つけ出し、訪問して関係を構築して商談を纏める。
以上となります!
良いよ!商用車メーカー!
商用車メーカーの中の人
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