カミンズとは?
最近、紙面に名前が乗る事も増えているカミンズ社。この会社はどう言った会社なのか?良く知らない方も多いと思うので商用車メーカーに勤める中の人目線で書きたいと思います。
カミンズ社の正式名称はCummins Inc.
同社は1919年に設立。売上高は約2兆円の米国の企業です。いすゞと日野の売上が約2兆円ですので、日系商用車メーカーと同規模の会社となります。
同社はディーゼルエンジンなどのパワートレインや制御システムを製造販売している会社ですが、主にディーゼルエンジンを製造している会社として理解して頂けば大丈夫かと思います。(EVやFCVの開発もしており、スカニアのトラックにカミンズのFCVが搭載され、ノルウェーではFCVトラックが運行されています。)
面白いのがトラック向けのエンジンは赤色、ピックアップトラックは黒色、船舶用は白色と言うように色を分けている点です。北米なんかで大型トラックのエンジンを見ると大体、赤いです。
今、商用車業界ではこのカミンズ社が非常に注目されています。
背景としては、ディーゼルエンジンへの開発は商用車メーカーも行っていますが、規制がどんどん厳しくなり規制値の達成基準は厳しくなり、将来厳しくなるこの基準を達成するのは困難との声もあります。
一方、世界では2030年頃を目処にガソリン、ディーゼルエンジン車の販売を禁止する政策を打ち出し、電動化へ大きく舵を切っております。
商用車メーカーは今あるラインナップを維持する為、ディーゼルエンジンの開発を行いながら、電動化の開発を行うのはリソースや開発費が莫大に増加して、そのような事は残念ながら出来ません。
ならば、今後衰退していくであろうディーゼルエンジンの開発は思い切って外部に依頼して、自分達は電動化の開発に注力しようと考える企業がいても不思議ではありません。しかしそうは考えても、長年、小型から大型までの全方位でディーゼルエンジンを開発、製造している日系商用車メーカーにとっては簡単な決断では無いです。仮にエンジンの外部調達を決めた際は、社内のエンジニアはどうするのか等、頭の痛い問題が多々あります。
そのような中、商用車業界では腰の重さが目に付くいすゞ自動車がカミンズから中型エンジンの供給を受ける事を決めました。特に驚いたのが海外だけでなく日本向けの中型トラックのエンジン供給も受ける事です。
日本向け車両の中型エンジンは栃木工場で製造する予定でして、長年いすゞのエンジンを製造していたいすゞ栃木工場の人達はどんな気持ちなのでしょうか。
しかしこのカミンズ社はグローバル的には非常に有名。
北米の中大型トラックやピックアップトラックにカミンズのエンジンが多く使用されています。北米ではトラックを購入するにお客さんはエンジンを選択する事が一般的です。Freightlinerのショールームで「お宅のでトラックを買いたいけど、エンジンはカミンズでお願いっ!」的な購入をするお客さんが非常に多い。カミンズのエンジンは燃費、メンテナンスが楽という事で多くのお客さん支持されています。
カミンズのエンジンは北米のクラス8と呼ばれる大型トラックに使用されています。Freighlinerだけでは無く、Volvo truck、Kenworth 、International にも供給されてあり、北米の大型トラックの半分程度がカミンズのエンジンを採用していると言っても言い過ぎでは無いです。
中国ではDongfengと合弁会社を設立。
Dongfengトラックにはカミンズのエンジンが搭載されているモデルもあります。
またクライスラーのピックアップトラックRAMに搭載されているエンジンもカミンズの物になります。日産のピックアップにも使用されていましたね。
競合としては同じく米国のデトロイトディーゼルと言う会社があります。この会社はダイムラーグループなのでFreightlinerにエンジンを供給していますが、カミンズがグループ関係の無いFreightlinerにエンジンを供給している事からわかる様に全然、カミンズの方が強いです。
カミンズ社の最近の気になるニュースとしては、
アマゾン向けにに天然ガスエンジンの供給を発表。
ディーゼルだけで無く天然ガスエンジンもエコフレンドリーなパワトレとして再注目されています。
私はディーゼルエンジンの需要は減少していくとは思いますが、ゼロにはなら無いと予想しています。しかしこの先細りしていく需要を拾うのはどこなのか?自動車メーカーは電動化に注力していく中、カミンズがディーゼルエンジンの需要を拾い、最後のディーゼルエンジン開発、製造を行う会社になるのでは?と勝手に予想しています。
またEVやFCVの開発も進めており、ディーゼルだけで無く電動化に関しても商用車業界で重要なプレイヤーになると思っています。
以上です!
商用車メーカーの中の人
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