1.本が嫌いな文学少女
日曜日の昼下がりとなれば、人々は明日に訪れる責務を振り払うかの如く日陰から這い出て青空を見上げに来る。名古屋市港区、港湾近くのららぽーとに訪れる人々も例外ではなく、建物間を結ぶ遊歩道から見える駐車場待ちの車を見つめ、私はあの混乱の最中を一足早く抜け出した事に少しの安堵を覚えていた。
今日、この場に訪れた理由に感動的な物語はなくて、ただ、昨日に岐阜の峠道へと抜けるバイクの一台になった時に、ふと視界が何かに遮られていることに気が付いたからだ。眼鏡越しに見える世界に白靄がかかっ