[翻訳] ハイステークスプロ Matthew Marinelliのポーカー勉強法
オンラインハイステークス ポーカープロであり、Mobius Cashのコーチも務めるMatthew Marinelliが、自身のポーカー勉強法をRun It Onceのフォーラムで公開していたので翻訳しました。
本人曰く、「その日勉強したことを1,500ハンド程度のセッションで実践できない人は学習プロセスに改善の余地がある」とのことです。
中身に入る前に。
Matthew本人が2022/09/25にオンラインポーカーの収支も公開しており、利益合計が100万ドルを超えたと報告しています(2018年に100NLを打ち始めてからの累計収支とのこと)。
彼がオンラインポーカーのハイステークスにおける本物の勝ち組であることがよくわかると思います。
Matthew Marinelliのポーカー勉強法
2022/09/26投稿
現在、私は自分史上最もツイています。(特に15/30で連勝)
明らかにものすごく運が良かったので、本当の実力としてのwin rateはここまで高くないと思いますが、私の集中的な学習ルーティーンが成果に現れていることが嬉しいです。
数名の方から私がどうやって勉強しているか聞かれたので、今回、私の学習プロセスの概要を投稿することにしました。
セッション前後ルーティン(ドリルとレビュー)
私は毎日のセッション前のウォームアップドリルを作っています。それは10個のセクションで構成されていて、15分程度で完了するようになっています。
これらのセクションはランダムなものではなく、EVへの影響度合いで優先順位を付けています。スポットが出現する回数に、その時の推定ポットサイズを掛けて、各スポットの合計BB数を割り出し、ランク付けしています。
win rateへの影響が最も大きいスポットに、私の学習時間を優先的に当てるための合理的な方法だと思っています。
また、スムーズに勉強できるプロセスというのも重要なので、そのため、私はGTO WizardのMy Drill機能に各スポットを保存しておく方法が気に入ってます。各セクションを20ハンドに設定することでペースを調整し、いつ終了するかの判断をしやすくしています。通常、13分間で10個すべてのフロップのセクションを完了します。
10のウォームアップドリルが終わった時点ですべてをカバーできるようにしていて、最後まで行ったらまたPart 1に戻る、というサイクルを続けます。
加えて、プレイした日の終わりには、10bb以上のすべてのポットをざっくりとレビューします。もしその日のハンド数が膨大で大変すぎるのであれば、15BB以上のポットをレビューの対象にします。
10bb(または15bb)以上すべてのポットをレビューすることで、以下3つを達成できると思っています。
隅々まで調べられる。
プレイしたスポットの勉強をしばらく寝かせてからレビューするという方法は好きではありません。インスピレーションが得られる。
ハンドレビューは先に紹介したウォームアップドリルのルーティーンほどは厳格なものではありません。そのため、ポーカーというゲームの抽象概念を掘り下げる機会になります。難しいスポットに出くわしても、落ち着いていられる。
「後から勉強すればいい」と考えることで落ち着くことができます。これは多くの人がはまってしまう「正しくプレイできてるだろうか症候群」に対処するのに役立ちます。
月間ルーティーン(データベース分析)
ドリルは私の週次プロセスの一部ですが、一方でHand2Note (H2N) を使ったデータベース全体のレビューも月次で行っています。H2Nは洗練されたデータベースツールで、Holdem ManagerやPoker Tracker 4ではできないような方法で、自分のプレイを簡単にレビューすることができます。
例えば、SB vs BBの3BP OOP PFCの状況で、どれだけ自分が全体でCBに対してディフェンスできているかを調べたいとします。H2Nを使えば、最初のセットアップは時間がかかりますが、あらゆるシナリオにおいて、どれくらいの頻度で各アクションを取っているか見ることができます。
Pioと書いてある黄色いスタッツはマルチフロップ集合レポート (multiflop aggregation reports) から取っていて、あらゆる主要なラインのものを私は持っています。正しいXF、XC、XRの値はプリフロップのオープンサイズや3betサイズ、レーキによって異なるため、あくまで推定値ですが、自分の目標値として用いるには十分です。
スタッツのレビューは、GTOの基準値と比較して、自分がどれだけ上手くプレイしているかを測るには素晴らしい方法ですが、私は月に一度しかチェックしないことにしています。なぜなら、自分が何かプレイに修正を加えたとしても、それがデータに表われるほど十分なサンプルが貯まるまでには時間がかかるからです。
基本的に、私はゲームツリーのすべてのラインを調べて、乖離している可能性のある場所を探し、リークをノートに書き出して、次の週に具体的にレビューしています。
戦略の開発
最後に、終わりなき旅である戦略開発です。私はフロップのCBやリバーのブラフキャッチなど、影響の大きいものはほとんどコーチングパートナーのPat Howardに任せています。
Patが大局的な戦略に注力してくれるので、私は自分が興味のある様々なニッチ戦略の開発に時間を使っています。今週取り組んだものを例として紹介しましょう。
例えば、スクイーズポットにおいてどのようにCBを打つかを理解したいとします。他の比較可能な状況から推測を試みることもできますが、基本的に私は人間のバイアスを最小化する方法で物事を判断したいと思っています(バイアスは常にEVロスに繋がるものなので)。
ということで、プリフロップのスクイーズレンジをPioに入れて、25フロップサブセットのスクリプトを実行しました。これをいくつかの異なるフォーメーションで実行し、解析結果をMFAツール (multiflop frequency analysis) を使って整理します。MFAを使えば、25フロップサブセットにおける平均ベット頻度がわかります。
基準となる頻度と使いたいベットサイズがわかれば、自分のレンジと頻度をどのように構成するかを決めるのに役立ちます。例えば、もし自分のスクイーズに対して、BTNがオーバーコールするのであればCBを多くするべきだし、一方で、COがコールしてきたらCBを少なくするべきです。これは直感的にも理解できると思いますが、アクションが残っているプレイヤーがいる時ほど相手のコールレンジは強くなるからです。
他にも学習するのが難しいスポットにおける戦略の開発に役立つツールがあります。このような時、私は、Simple PreflopとSimple 3-Wayをよく使います(個人的にUXがあまりよくないと思ってますが)。
例えば、レクリエーショナルプレイヤーがEPからリンプし、REGがBTNから4.5BBにアイソレートしました。自分がBBにいる時のレンジを構成していきたいと思います。
データをSimple Preflopに入力して表を取得します。下の図がそのスクリーンショットです。
GTOの基準があれば、プレイヤーや状況に応じて正確なレンジを構成できます。もしレギュラーがGTOより広いレンジでアイソレートしていると考える理由があるのであれば(実際これはよくあること)、より多く3Betやコールをするべきです。
これで次にプレイ中にこのようなシチュエーションに直面した時に使えるフレームワークが手に入りました。
普段、私は複数の異なる分析プロジェクトを同時に進めているため、私のオフィスにはホワイトボードがあって、そこで今取り組んでいるプロジェクト(大抵、それぞれ異なる段階にある)の進捗を管理しています。通常、5~6のプロジェクトやアイデアがホワイトボード書いてあって、戦略開発の時間になったら、どれから取り組むべきか記録しておいたり、進捗をトラックしたりするのに役立っています。
アメリカ時間の朝と昼はハイステークスゲームが動いていないので、いつもその時間帯にコーチングや戦略開発の時間にしています。
まとめ
私のポーカーの勉強ルーティーンをダイエットに例えるとこんな感じになると思います。
ドリル:健康的な食事と運動(「現在」「実践」にフォーカス)
戦略開発:ダイエットプラン(「長期」「計画」にフォーカス)
データベース分析:月々の体重測定 (「中期」「進捗の測定」にフォーカス)
自分独自の学習ルーティーンを作りたいのであれば、私の方法をそのままコピーする必要はありませんが、学習プロセスは、幅広いすべてのセッションにおいて努力が成果として得られるものでなければいけません。
多くの人は超難解なリバーのシチュエーションを研究したり、ライブプレイのビデオを長時間見たりするという罠にはまりがちですが、最も利益的なことは、基本を何度も磨き直すことや、他の人にとっては「明らかすぎる」スポットを確認することです。
もしあなたが、その日勉強したことを1,500ハンド程度のセッションを通じて実践できないのであれば、それは学習プロセスに改善の余地があると思われます。
翻訳は以上です。読んで頂いてありがとうございました!
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[2023.01.05 更新] その後、Matthewがポーカー勉強法の未来について投稿していたので、そちらも翻訳しました。ぜひご覧ください。
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