流れた時間は雄弁に

くるりの新しいアルバムを聴く。

元メンバーだったドラマーを迎えての新しいアルバムは、当時の空気の再現ではなくて、それぞれが過ごしてきた時間の果ての、一緒に作ったアルバムで、聴く側の感情をスルーするように素晴らしいアルバムだった。

ブギーを意識したようなセルフライナーノーツを読んだけれど、古いロックが好きな人たちが鳴らした現在の音楽のように感じた。サブスクなんてない時代の、音楽を大切に聴いてきた人たちの音楽だと思う。

よく、ミュージシャンで長く活動をされている方は、初期のアルバムの再録アルバムだったり、再現ライブをする人がいるけれど、初期衝動を技術を経た今でやったらどうなるかを試したくなるのかな。

作家のよしもとばななさんは、自作のとかげをリメイクして、ひとかげという作品にリライトしたが、芸術家にとっての原点回帰はある意味での再生でもあるのかな。

良きにせよ、悪しきにせよ、流れる時間の中で経験して得ることと失うことは双方あるだろうし、その確認作業でもあるかもな。

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