立ち喰い蕎麦の幽霊
最近は電車に乗る機会がめっきり減ってしまった。新幹線で移動できる範囲の距離ならば、夜間に高速道路を運転した方がガソリン代を加味しても、移動の自由度は高まるし、金銭的な負担も減るからだ。
遠出ですらそうなのだから、近隣はなおさら車移動がメインであり、駅に立ち寄った際に食べる立ち喰い蕎麦を食す機会が皆無になってしまった。あのシンプルな鰹出汁と醤油の味付けの蕎麦はジャンクで好きなのに。
ただ、ここのところの円安はあるにしても、以前は300円未満で食べられたそれが、今では450円に値上がりしているのはちょっと、、、ある程度の値上げは理解するし、食べて応援しようという気になるが、上がりすぎだろうという気持ちがないではない。
カレーライスでさえ350円が550円とか、なんの錬金術なのかと問いただしたい。でも仕方のないことではあるのだろうし、駅は地価も高いだろうから、出店料が値上げでもされたらペイするためには値上げしかなかったのかも。
私がよく行っていた立ち喰い蕎麦屋には、コロッケ蕎麦があり、かけそばにコロッケとネギが乗っているだけのオールドスタイルなのだが、あの奇妙な組み合わせの蕎麦がまた美味いんだよな。旨いではなく美味い。
駅の喧騒の中で、呑気な風情で掻きこむ蕎麦のインスタントかつジャンクな雰囲気込みの味は、ただ食べに行くだけじゃなくて、移動の合間に食べるからこそ味わえたような気がしている。
電車移動の機会があったら、多少割高でも昔食べた味と今のそれが変わっていないのか確かめてみたいな。