あしあとをかくす
SNSにおける痕跡。アカウントを消してもマザーデータがサーバーに残っている限りは魂が煉獄に繋がれてしまうのではないかと考えると、始めてしまった物語を完全に終わらせるということは難しいのだなと感じる。
逆にいえば、本人が世界から去ってしまって、新規で更新されることがなくなってしまってもアカウントは残るわけで、リヴィングデッドなのか地縛霊なのかはわからんが思念は残留し続けるとも言える。サーバー自体が消えてしまうまでは、それは続いていかないとしても残ってはいくのだろう。
自分は鍵アカウントにしたことはないのだが、痕跡が残らないように生きながら幽霊のように関わるのはどんな感じなんだろう。あれは心を許しあい、条件をクリアし、鍵を手にせねば開かぬサロンのようなものなのか。
いにしえのSNSには相手のページに足を踏み入れると、訪問の痕跡が残り、メッセージを残さずとも足跡が見つかるシステムになっていたが、いまはそれすら厭い冒険者よりも傍観者でありたい人が増えたのか。
まあ人と関わると悲しみが増えるともいうが、声を発さねば姿も見えぬというのはいささか寂しく感じるような気がするのだけれど、それを臨む人がいるからこその世界の変容なのかな。