
本音教育用語集(ち~つ)
ちゅうがっこう【中学校】私は,中学校と高校の教員免許を持っている。中学校の教員採用試験の二次試験面接で次のような質問を受けた。「中学校と高校の両方の免許を持っていますが,どうして中学校の教師になろうと決めたのですか。」
私の答えはこうだった。「中学校のほうが,人と人とのぶつかり合いがあるからです。」
合格したい思いが強かったため,少々かっこつけた答え方をした。しかし,この言葉通り,教育現場,特に問題生徒に対する生徒指導をする場合,最終的には人と人とのぶつかり合いとなり,私も本音でぶつかることが多かった。
飾った言葉や教師という立場で語る言葉は,問題行動を起こす生徒には通じなかった。
教師5年目の中学3年を学級担任をした時,喫煙や暴力事件,授業エスケイプを繰り返す生徒に次のような指導をしたことがある。「生きるために金をかせぐ必要がある。お金は欲しいだろう。ならば1円でも多くかせぐためには,資格をもっておくことが大切だ。自動車運転免許はもちろんのことダンプカーなどの大型免許,溶接,ボイラー,設計などもっておくと当然給料は上がる。学校の勉強が嫌いなら運転免許の勉強をやれ。わからないことは聞いてくれ。先生もつきあうぞ。」
この生徒は,今では30歳になるが,溶接技師の資格をとり働いており2児の父親となっている。子どもが生まれた時,わざわざ学校まで,子どもの顔を見せに来てくれた姿が印象的だった。
つうちひょう【通知表】学級担任をしていた頃,通知表を書くためにやっていたことがある。それは40名近くの生徒について,一度に書くことができないため,日ごろから少しずつ各生徒について思いついたことをどんどん書きためていた。文章にならなくてもキーワードや箇条書きでもとにかくどんどん書きためていった。特に,学期末の試験監督をしながら,ひとりひとりの生徒の顔を見ながら,良いところなどを思い浮かべていた。監督中なので書き留めることはできないが,思い浮かべるだけであとから役に立つことも多かった。そして,書き留めたものを参考にしながら文章を考えていった。
野口芳宏先生は,通知表は5人に見せるという心構えで書いて欲しいと言われていたそうだ。その5人とは,父親,母親,祖父,祖母そして仏様である。それぐらいの気持ちを込めて書くことが大切なのだと思った。