「知ってるつもり」
サークルの機関誌「道徳のチカラ」で鈴木健二先生が紹介していた「知ってるつもり」(西林克彦 光文社新書)を読みました。
現在の教育は,知識よりも思考,表現,判断などを優先しています。これに対して,以前から違和感を覚えていました。
知識が豊富だから,
深い思考ができます。
豊かな表現ができます。
適切と思える判断ができます。
そんな私にとって,とても刺激的な内容が多かったです。
例えば,「詰め込み教育」に対して西林さんは,こう書いています。
〈引用始まり〉
知識システムとか知識の質という根本問題と思われる点を曖昧にしたまま,または不問に付したまま,または気づかないまま,戦後の教育改革は行われてきました。
量の増減だけで教育改革を行ったと考えているならそれは間違いです。
〈引用終わり〉
また,課題解決学習に対しては,
〈引用始まり〉
その領域に関する知識がかなりなければ,解決したい問題点など見つかるわけがありません。
〈引用終わり〉
まさに,その通りです。
豊かな知識がなければ,学びを調整する力も身につくわけがありません。
手当たり次第に知識を身につけよと言っている訳ではありません。
西林さんの言うように知識をシステマティックに身につけることが大切だということです。
つまり,多様なものに「共通性」を見つけ出し,それを使って「個別特性」を見出すのです。このように知識をシステマティックに身につけることで,割と簡単に覚えることができ,記憶がはっきりするのです。
また,この本は,教科書研究の具体例も示されていますので,一人でも多くの先生たちに読んでもらいたい1冊です。
私も含めて,知っているつもりで生徒に教えている教師が多いのが現実だと思います。
この本を読んで猛省しました。