カリスマほど「気遣いができる」。もしくは「気遣いができる」からカリスマ。
友人に勧められて沢木耕太郎のラジオを聞いてみた。その番組は沢木耕太郎が「人」について語る内容。彼がこれまで付き合ってきた有名人達にまつわるエピソードだ。
高倉健、美空ひばり、井上陽水、長嶋茂雄、と超大物とのエピソードに、まず沢木耕太郎の人脈力に驚いた。
そりゃ言わずとしれた有名作家、あの若者達のバイブル「深夜特急」を書き上げた男。著名人達と交流があってもおかしくない。ただここまでとは知らなかった。
さてそのエピソードの内容についてだが、前述したスター達の素敵な「気遣い」の話と言ってもいいだろう。
高倉健さんが、沢木耕太郎のボロボロのバッグを見て、密かに新しいバッグを用意し、「近くまで来たから」という言い訳をつけて突然家にプレゼントとして持ってきてくれた話。
美空ひばりさんは、登場マネージャーをしていた実の母親に「お金のことや、人付きあいのことはわからない」とウソの振る舞いをしていた。それは「娘は私が支えていないといけない」と母親に思ってもらい、母親が生きがいをもって働けるようにするためだった。
井上陽水さんは、自分の息子が20歳になったのを祝うために、息子を銀座のBARへ連れて行った。(銀座にしたのはたまたまらしいが)
どの人物もその世界では「スター」で、どのエピソードも他人に対する「気遣い」が窺える話。
圧倒的なパフォーマンスがあるからこそ彼らがスターなのは間違いない。そこに他人への「気遣い」が加わることで、人々を魅了する「カリスマ」と呼ばれる人間になるのではないか。