断られた退職祝い
年賀状の1枚に退職の挨拶があった。
60歳で定年退職をすると書いてあった。
これを機に年賀状も終わりにするとも書いてあった。
14年前まで勤めていた前職の会社の同僚。
彼のことはとても良く覚えている。
私が転職をする際に、退職の挨拶のメールを彼に出した。
「サヨナラは書かない。最後じゃないから。」と書いてあった。
この言葉はとても嬉しかった。
だからこそ彼の定年退職の年賀状が来たときに、彼に会おうと決心した。
彼の職場のメールに退職祝いの飲み会のお誘いをした。
1週間ほどして返事のメールが返ってきた。
気持ちはとても嬉しい。感激している。
でも、会えないとのことであった。
なぜならば、HSS型HSPだからと書いてあった。
ググってみた。
心身症の一種であった。
風のうわさで、彼が課長からヒラに降格になったのは知っていた。
部下が仕事のミスをして、その連帯責任で降格になったとのことであった。
どうやらそれが原因で、HSS型HSPが悪化したようである。
メールの最後に、「身勝手で、失礼な私を許してください。」と書いてあった。
メールを読みながら泣いてしまった。
文面から彼の気持ちが溢れ出ていたからである。
病気を我慢して仕事を続けてきたが、定年退職で合法的に職場を去れるとも書いてあった。
14年前に私が職場を去るときに、一番気を使ってくれたのは彼であった。
せめてその恩だけは返したかった。
久しぶりに声を上げて泣いた。