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尊敬する上司がいたことに感謝

自分が還暦に近づくにつれて、自分のサラリーマン生活を振り返ることが多くなった。
と同時に、退職後の生活を考えるようになった。
私は今まで34年間のサラリーマン生活を送っている。
3回転職して4つ目の職場で働いている。
34年間で尊敬する上司は2人いる。
1人は前職の職場での上司である。
私が39歳で、20年近く前の話である。
その方は自衛隊を退職して入社した人である。
そのときには彼は55歳くらいであった。
とても部下思いで、部下が苦しそうなときにはランチに誘って、悩みを聞いてくれた。
いつも部下を励ましてくれていた。
1つ彼に不思議なことがあった。
それは、どんなに遠い出張でも必ず日帰りだということであった。
ある日、彼と私が一緒に日帰りの出張したことがあった。
車での出張であった。
帰りがけに一緒に来てくれと言われて、病院に立ち寄った。
なぜ病院なのかが分からなかった。
病室に案内されたときに驚いた。
重病で入院している奥さんがいたのだ。
起き上がることができないほど弱っていた。
私がいることに気づくと、首を上げて起き上がろうとしていた。
目で挨拶をしてくれた。
私は、突然のことで言葉が出ず、立ち尽くしていた。
どんな遠方の出張でも日帰りなのかが理解できた。
彼は、自分の辛い境遇を人には話さず、部下の苦労をねぎらっていたのである。
私は帰りの車を1人で運転しながら号泣していた。
半年後に、彼の奥さんの葬儀にも参列した。
そのときに分かったのだが、娘さんも知的障害者であった。
数年後にその娘さんの葬儀にも参列した。
自分の苦しみを顔に一切出さずに、いつも笑顔でいる彼を本当に尊敬する。
その上、部下の苦労を労い、いつも自腹でご馳走してくれていた。
その頃、人間的に未熟な私は、自分の境遇に愚痴や不平や不満を言い続けていた。
今では彼とは年賀状だけの交流になっている。
彼は80歳近い年齢であるが、元気に社交ダンスを続けているとのことであった。
本当に尊敬できる上司の1人である。
私の人生も紆余曲折あったが、人間性は彼の足元にも及ばない。

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