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驚愕の水の木沢崩落の痕

▲芦沢橋先の登山道を分断した崩落現場

2012年8月30日
前回は、山伏峠側から金山沢に降り立ち、水の木沢を目指したが水の木沢まで下ることが出来なかったので、今回は、3年ぶりに浅瀬橋側から水の木沢へ行くことになった。ネットで状況を調べてみると、登山道はまだまだ修復は進んでいないようだ。それでも芦沢橋までは行けそうである。
駐車場に到着したのは10時近かった。この沢が土砂で崩壊する以前は平日、少ない時でも車が7台は止まっていたが、今日は2台だけだ。身支度を済ませゲートをすり抜けると、かつて漁券を売っていたおじさんの家が右側にあったが、家の裏手はかなり上部から土砂崩れした跡が残っていて、家はなく更地になっていた。おじさんは無事だったのだろうか。おじさん、漁券販売を管理事務所に譲って以降も、家の軒先に椅子を持ち出しゲートを通り過ぎる工事の車や釣り人たちに声を掛けて座っていた。僕たちもおじさんの所に立ち寄り、沢の様子を聞ていた。「クマが出ているみたいだ。きをつけろや!」などと声を掛けてもらった。
少し先、左手、川側に釣り管理事務所の建物が土石流に汚れた姿で目に入る。管理人はいなかったが、釣りエリアの地図のボードは入り口脇に立ててあった。ボードには、大又沢に入渓の青のマグネットが、2ヵ所着けてあった。車の2組は大股沢へ向かったようだ。
浅瀬橋までは登山道をそのまま進むことが出来たが、橋を過ぎて50mほど先で登山土は通行止め。河原に降りる道筋を行くようになっていた。そのまま河原をしばらく進むと、芦沢橋手前で再び登山道に戻るよう赤い矢印の看板があった。再び登山道に戻り先へ進むが、芦沢橋までは電柱がたおれ、電線も登山道を横切り大小の石があちこちにころがっていた。道には大きな穴が開き、今にも崩れそうな細い脇道を不安な気分で渡って行くことになった。

2012.8.30.水の木沢_2

▲陥没した登山道

2012.8.30.水の木沢_4

▲川側が削られ狭くなた登山道

2012.8.30.水の木沢_3

▲山側が崩れ落ち埋まった登山道。今にも崩れてきそうだ

芦沢橋は集中豪雨で流されてきた大木が欄干の鉄骨を突き破り横たわっている。芦沢橋の先は土砂崩れにより登山道の先が見えないほど完全に寸断され進むことが出来なくなった。河原へ降りられる場所まで戻り川通しで歩くことにする。河原を歩き始めるが、このまま進んでも、いつ水の木沢に到達出来るかわからない。すでに歩き始めて2時間程たっていた。少し釣りながら上流を目指すことにした。魚のいそうなポイントをさぐりながら釣り登り始めたがまったく反応は無い。魚がいないだけで無く、いつものような、沢に身を置いた時の心地よさが無い。爽快感が無い。落ち着かない…。
川通しで進むも行き止まりだ。かつての登山道側を仰ぎ見ると。道筋が少しみえる、その先は山百合橋である。登山道への登り口をさがしながら、草むらをかき分け少し登ると登山道に出ることができた。道にはもう動かないであろう、錆び付いたブルドーザーが放置してあった。荒れ果てた登山道を15分ほど進むと山百合橋がみえてきた。さらに進み橋を渡ってみると、その先の登山道は以前と同じようにキレイなままだ。いや以前よりむしろキレイに整備されているようにさえ思われる。これなら、水の木沢まで行けるかも知れないと心が晴れる。先に進む。
水の木沢取水所脇に軽トラックが2台置いてある。山の下と、この登山道と行き来しているようだ。登山道の整備をしているのか? どこから登ってきたのだろう? 後で調べてわかったのだが山中湖側から明神峠ゲート=通常はゲートで通行止めだが、仕事の車は通行できるのだろう…?。ゲートから大棚橋まで下り、ここまで来ることが出来るとわかった。

2012.8.30.水の木沢_5

▲一見以前の様な平穏な水の木沢。川底は土砂に埋まり魚は激減。

取水所から、水の木橋まで30〜40分ほどだ。途中以前と同じ場所に同じように沢水を引いた水場が残っていた。美味しい水をいただきさらに先へ進む。水の木橋あたりに来ると沢も登山道に近づき、沢の様子が良くわかる。やはり沢は集中豪雨の爪痕を遺していた。下流ほどでは無いが土砂に埋もれ様変わりしていた。山百合橋〜水の木橋までは沢が深いせいで、登山道は被害を免れたのだろうか?
水の木橋を渡り登山道を右へ、100m程先から入渓。そこは、以前と同じように心地よい空間だった。早速釣りはじめたがぼくのルアーにはアタリが無い。Sさんはドライフライで何匹かイワナを釣ったようだ。一見、前と同じように感じたこの沢も、やはり土砂で川底が埋まり、魚の居場所が無くなったようだ。
早めに切り上げ帰り道を急いだ。下流の荒れた沢、登山道を降りて行かなければならないと考えると、気が重くなる思いだった。想像以上にこの沢が打撃を受けていた現実を見て驚愕の思い出ある。癒やしの場所が一つ、また一つと無くなっていく昨今である。
温泉=ぶなの湯へ寄り一日の緊張感ほぐし、帰途につく。

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