アロマ×重曹でナチュラル防虫剤作り
衣替えは「立夏」を過意識して。
2023年5月6日は立夏。「夏が立ち上がる日」とかくこの日。
二十四節気、陰陽五行では「夏の到来を告げる日」です。
(ちなみに満月でもありました!)
まだ気温の変動はあるにせよ、春特有の強い風も、だんだんと落ち着いてきて、気候が安定、気候も徐々に上がってきますので、私は毎年この日の前後に衣替えをするようにしています。
ところで、みなさんは衣類の入れ替えをする際、
多くの方が市販の防虫剤を使われていると思います。
市販の防虫剤には手軽で安心、匂いもつかない、
というメリットがある反面、その成分はただ、パラジクロベンゼンや無臭系のピレスロイド系などの強い化学合成で作られたものがほとんどで、人体に蓄積することで心身に悪影響をもたらすなどの報告もされています。
そこで、アロマで作れるものはなんでも作っちゃおう!の私。
今回の出張アロマクラフト講座では「アロマ×重曹」を使って、
体にも衣類にも心地よい「手作りのナチュラル防虫剤」を作っていただきましたのでご紹介しますね。
まずは防虫剤についての豆知識から始めましょう。
天然の防虫剤「樟脳」
現代のように防虫剤としてたくさんの種類が出回る以前は、
「樟脳」と呼ばれる白い粉状の物質が多くの家庭で使われていました。
私が学生の頃だったか、電車に乗ると香ってくるツーンとした刺激臭に、「あ、あの人昨日衣替えしたんだな〜」ってわかるくらい強い臭いが特徴。
樟脳の原料は「樟木(クスノキ)」です。「となりのトトロ」に出てくるトトロの住処クスノキとされているようですが、その優れた防虫・抗菌作用に建築建材としても使われることが多い木材です。
ではこのクスノキからどのようにして樟脳が取れるのでしょう。
それはアロマテラピーではお馴染み「水蒸気蒸留法」という方法で抽出されます。
植物(芳香植物)や木材、樹脂などを水蒸気蒸留法にかけると
「精油(水となじなまい・水よりも軽い物質)」の部分と
「芳香蒸留水(有効成分を含んだ水分)」に分かれます。
樟脳は芳香蒸留水の方に蓄積される白い物質で、遠心分離機で水を完全に取り去ることで得られる物質だそうです。
※ちなみに精油は「油」の漢字を使いますが、サラダ油、オリーブオイルのようないわゆる「油」ではありませんので誤解のないようにしましょうね。
いずれにしても「精油」も植物の有効成分がぎゅっと凝縮された「エッセンス」ではありますが、「樟脳」は「樟木」の「脳」であり、クスノキをクスノキたらしめている中枢であるとも言えそうですね。
そんな天然由来の樟脳にも少々デメリットがあります。
それは「燃えやすいこと」。
また、先にお話ししたように、とても強い芳香がありますし、
間違って口に入れると神経障害を引き起こすという危険もあります。
これは樟脳=カンファーの働きによるもの。
アロマでもお馴染みのローズマリー精油ですが、
このローズマリーにも「カンファー」を多く含む「ローズマリー・カンファー」という種類のものがあります。流産惹起作用や神経毒性などの禁忌がある精油なので扱いを間違うと危険なこともあります。
でも、禁忌を知ることで、安全に使うことができるようになりますので、
アロマテラピーにおいて、精油の成分を知ることはとても大切なことになってくるのです。
「自然由来のもの」は私たちを元々持っている自然を呼び覚まし、心地よい状態に導いてもくれますが、反対に注意しなければならない面も持ち合わせている、ということ。まさに陰陽の原理そのものです。
私たちだって誰もが聖人君主のようには生きていけません。
裏があるから表という意識が生まれます。良い面も悪い面も両方
持ち合わせているということにこそ「自然」の本質があるのです。
アスナロ精油に期待すること
じゃあ、今回のアロマクラフトには樟脳(クスノキ)の精油を使ったんでしょ?と思われるかもしれませんが、使いませんでした(笑)
アロマテラピーを安全に楽しむためには、先にもお伝えしたように、どんな成分がどのくらい入っているか、計測不能は物質がどれくらいあるか、原料はどこでどのように栽培された(生息している)ものなのか、というトレーサビリティーがとても大切。
樟脳を得られると同時に抽出されるクスノキ精油についての成分分析や、原料となるクスノキについてのトレーサビリティーが明確なメーカーさんを見つけることができなかったんです。
そこで、私が普段愛用しているトレーサビリティも成分分析も明確な日本産精油yuicaさんの精油から防虫効果に期待できる精油をチョイス。
そして、ナードのアロマ・インストラクターとしてアロマテラピーお伝えしている身としては、いつも使っているプラナロム社の精油も活用。
日本産精油とのブレンドを試みました。
yuica産の精油でチョイスしたのはアスナロ精油。
アスナロは東北地方では「ヒバ」とも呼ばれ、
能登地方では「アテ」とも呼ばれる防虫、抗菌作用に優れた樹木。
アスナロで建てた家にはシロアリやゴキブリ、ダニなどが寄りつかないとも言われています。
その作用をもたらしてくれる、アスナロ独自の成分が「ツヨプセン」という芳香分子です。
香りは樟脳のようにツーンとしたものはなく、日本の森の大地から湧き上がってくるような大いなる大地のような香り。主張することなく、周いを包み込むような奥深さを持った香り。心のグランディング作用もありそうです。
このアスナロ精油を中心に、同じく日本の森の精油モミをチョイス。
プラナロム社からは、リトセアとラベンダー・アングスティフォリアを選んでブレンドしました。
リトセアやラベンダー・アングスティフォリアなどは日本の森の精油に比べると香りの主張がとても強いので、ブレンドに加える量はごく少量でもOK。
心地よい森の香りの防虫剤のためのブレンドが出来上がりました。
ブレンドができたら、あとは重曹に混ぜ合わせるだけで出来上がり。
サシェなどにしてシューキーパーとして使っても良いですし、容器のままクローゼットや下駄箱に忍ばせても大丈夫。扉を開ければ、フッと心地くやさしい自然界の香りに包まれます。防虫効果もお墨付き。ぜひ皆さんもご参考にしてくださいね。
日々の暮らしの中で自然の力を活かす
重曹について、ここでは詳しく触れませんでしたが、重曹も地球を浄化してくれれている天然の浄化剤です。
私たちの身の回りには、化学的に合成されたものがほとんどで、自然界が元々持っている素晴らしい作用や効果について疎くなってきているのではないでしょうか。アロマテラピーを通じて生活の中に自然を取り戻し、皆さんの中に眠っている自然の感性を呼び覚ますことができればいいな〜というのが私のアロマにかける思いです。
これからも重曹などの自然の基剤、日本の森のアロマ、ワールドワイドなアロアの世界を日常の暮らしを通してお伝えできればと思っています。
私が主宰するtrois(トロワ)の公式ラインアカウントではアロマのレッスンやマクロビ講座など最新の情報を発信しています↓