ローズクォーツと水晶③
愛の調べ
「君の前世は何だったんだい?」何となく水晶に聞いてみた。すると、ギュッと身を縮め、硬い身体を更に固くし、重くなる。いったいどうしたのだろう。
「どこから来たんだい?」質問を変えると身構える固さが無くなり、ガンダムや宇宙戦艦ヤマトのような宇宙船の中のイメージを伝えてくる。 劇画調のイケメン宇宙人が2人。それを眺めていたんだね。
前世の重苦しい記憶は解除して、リラックスしてもらったところで、更に聞いてみる。
「どうして私のところに来てくれたの?」
すると、「選んだのは君だろう。君の家系、君の家族を見守るために来たんだよ。」そう受け止めた。質問してから、違うことをしていたら、何やらまだ話足りないことがあるらしい。手があいてからもう一度尋ねてみた。「いろいろ経験をしたいからだ」と言うではないか。
そうかそうか。今までいろいろなところに連れ回していたけれど、案外楽しんでくれていたのだな。そう思うと、宝石旅も悪くない。これからもあっと驚くようなところへ連れて行こう。私も楽しみがまたひとつ増えた。
それから、ローズクォーツ女史にも同じ質問をしてみた。過去世ではモナリザのような女性の姿で、何かに怯えているようだった。その記憶も解除して、私の元へ来てくれた理由を尋ねると、「私とともに愛を伝えて広めるのよ」と言った。
私はそれを、ごく自然に希望ではなく使命として受け止めた。そうか。やっぱり私たちには使命があるんだね。たくさんの愛を広めよう。ありとあらゆる手段を使って、限りない宇宙の愛を伝えていこう。私の元へ来てくれてありがとう。私たちはパートナーだね。
そこへ水晶のおんじが口を挟む。「わしもパートナーだということを、忘れないでもらいたい。ローズクォーツ女史とは、ここで落ち合う約束をしていたのだからね。」
やっぱり!!それを聞いて、とたんに嬉しくなった。どう見ても、ふたりはとてもお似合いなのだ。他に仲間に入れたい石があるのだが、ふたりがお似合いすぎて、迎え入れるのを躊躇している。それくらい、しっくりきているローズクォーツと水晶である。
やっと出会えたのだから、しばらくは私と3人で輪を作ろう。輪は和となり、調和を生む。波紋のように拡がるそれは、やがて宇宙を包む愛の和音となり、ハーモニーを奏でてゆく。
お互いの良いところを引き出し合って、そんな世界を築いていこう。おんじ、女史。これからも宜しく頼みますよ。