青岩と白岩
川の岩のお話
我が家から車を一時間ほど走らせたところに、とても立派な青い岩の河原がある。夏の暑い時期には、地元の若者が集まって、岩から清流に飛び込んだり泳いだりして遊ぶ姿も良い風物詩だ。
川底が見えるほどの清流に足を浸さなくても、その岩の上ををひょいひょいと超えて進んでみたり、その先にある怒涛の流れを眺めるのもまた良い。
もう何度通っただろうか。毎回新しい発見があり、新たな顔を見せる魅惑の河原。そのほとんどが青い岩なのだが、よく見ると青い巨岩に混じって、白の巨岩があった。同じくらいの大きな青岩と並んで佇んでいる。
目に止まると、その岩に触れなければならない気になり、急いでその場所まで移動する。はやる気持ちを抑えて、思い切り両手をついてみた。
すると、岩から何か伝わってくる。恐らく威厳のようなもの。青い巨岩がメインの河原ではあるが、実はこの白の巨岩がここの地の要となっていたようだ。
どのように要となっているのかまでは、正直わからなかった。ただ、青い岩は脆く、部分的に疲れているようにも見えた。白岩の存在が青岩の支えとなっているのか。はたまた、ここで遊ぶ若者たちが安全に遊べるように見守っているのか。
それらの情報を感じ取ると同時に、白岩がどっしりとした地のエネルギーを与えてくれた。よく来たな、と労いの感情も感じる。初めて認めてもらえたような気がして、私はただただ、ありがとうと感謝した。
次は隣の青岩の天辺に呼ばれ、足場を確認しながら触れてみる。青岩はエネルギーを受けるというより、良い子いい子と撫でてあげたい気持ちになった。
夫としばらく川の流れを眺めながら、ここで音楽を奏でたいと話していると、雨上がりで増量した川の水も喜んでいるようだった。
なんて居心地のいい場所なのだろう。いつかここで、ギターとカホンとカリンバで、凸凹楽団の演奏会を開こう。私は水晶に乞われた歌でも歌おうか。そうそう、凸凹楽団は海辺にも呼ばれていたっけ。
そんな愉快なことを考えながら、車に戻る。帰り際に優しく揺れた柳の巨木が、ここは育みの地なのよと教えてくれた。
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