さよならガーネット

 まさか。まさかね。
チャネリングセッションやクリスタルの販売を始めようとしている私は、ブログで仲よくなったメンバーと、初めましてのランチ会に参加した。
 少し離れた土地へ向かうのに、今日のお供にとガーネットさんをポケットに忍ばせて、高速道路を飛ばしてそれはそれは楽しい時を過ごした。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕陽を見ながら帰途につく。興奮冷めやらぬ中、公式ラインを返したり楽しい気分のままその夜は終えた。

 ふと、朝起きたときに、ラブラドライトとルチルクォーツのイヤリングはしまった覚えはあるけれど、ガーネットをポケットの中に入れっぱなしだったことに気付いた。慌てて探したが見つからず、どこだ?無意識にいつものカゴの中に入れたか?

 おかしいな。どこにもいない。

 いちばん不可解なのは、自分にそれほど焦りがないことだ。あぁ、昨日がお別れの時だったのだな。心のどこかに、そんな思いが立ち昇る。

 すぐ横で寝ていた末の娘が、突然、私に向かって笑顔で手を振った。あぁ、やっぱり。答えをありがとう。心の奥底で納得する想いと、ヤダヤダ!私のかわいいガーネットさん!そんな想いが交差して、このことを誰にも話す気にはなれなかった。

 未だに半信半疑ではあるが、少しずつ現実を受け入れるようになり、やっとここに記すことができている。

 私のクリスタルの中で、いちばん小さな甘えん坊。いつもコロコロと寄ってきて、「私も連れていって♡」とアピールが上手で、つい連れて行ってしまう。ブドウのような深い色あいで、手のなかでの収まりもいい。とにかく可愛い愛され上手な子だった。別れが早いことを知っていたのだろう。その分少しでも一緒に過ごそうとしてくれていた。

 そう。私は知っていたのだ。

 ガーネットちゃんの愛情深い、憎めない性格は、仲直りにも力を発揮してくれた。意外なところでは、リウマチを患っていた私の肘の痛みを、誰か助けてくれないかと声をかけたら、率先して手伝ってくれたことだ。
 こんな小さな子が、しかも強い痛みに対して大丈夫なのかと半信半疑だったが、すぐに打ち消してお願いした。すると、私の体温が移る頃には痛みが和らぎ、心底ビックリしたものだ。
 イザという時には、効果効能は関係ないのだと教えてくれた貴重な経験だった。
 短い間だったけれど、あなたと過ごした濃密な時間は私の糧となり、深い愛を学べました。ありがとう。貴女の跳ねるような可愛らしさを、私は決して忘れない。


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