ローズクォーツと水晶①
おしゃべりな水晶
縁あって、小さな丸いローズクォーツを手に入れた。よくある小石程度の研磨されたものだ。平べったい形の良いものと迷ったが、丸い形に親近感を覚え、決めた次第だ。
ころころと可愛らしい色と形で、光の反射で虹色が浮かぶ。光に透かして眺めてみたり、何となしにポケットに放り込んで、持ち歩いたりしてみる。これまで石に興味がなかった私にとって、初めての天然石である。
そんな小さな石との生活にも慣れた頃、片手に収まるくらいの水晶がやってきた。その水晶はゴツゴツとした四角い風体で、特に加工もされていない。
少し大きな四角い無加工のクリスタルと、小さく丸く研磨されたローズクォーツ。そんな取り合わせの天然石と暮らし始めた。
ある時、石と話せる友人が、私のローズクォーツが何か伝えてきていると知らせてくれた。そこでオンラインで話すことにしたのだが、ローズクォーツを見せた時に、びっくりして言葉を失ってしまった。
どうしたのかと心配したが、どうやら私のローズクォーツは、研磨された現在の姿ではなく、元々の形のイメージを送っていたようだ。
これはどういうことだろう。しばし頭を悩ませる。そこへ、小2の末娘が石を加工することが可哀想でならないと、悲痛な思いを話していたことを思い出した。この子はそのことを伝えたかったのではないか。
ローズクォーツは調整中とだけ言葉を残し、代わりに新入りの四角い水晶が話しかけてきた。
「なんでこのローズクォーツを選んだんダイ?」
突然のことでアタフタしていると、続けざまに聞いてくる。
「余分なものはもう要らないということカイ?」
「まわりを削ぎ落として、真ん中の核心部分だけでこれからはやっていくということカイ?」
「こ…このローズクォーツは…何となく自分に似ていると思ったから…親近感が湧いたから…」
しどろもどろに答える私。そんなことには構わずに、どんどん話しかけてくる。
「大じいと大ばあにあなたの考えを言うことにしたのカイ?」
混乱しすぎて、もはや何のことだかサッパリわからない。そのうちに、よく行く好きな上流の河原に、自分も連れて行っておくれ、川の水に浸して歌でも歌っておくれ。そんなことを言い出した。
あまりにも突然のことに、可笑しいやら可愛いらしいやら。一気に親近感が湧き、この水晶を選んで良かったと心から思った。
ローズクォーツに代わり、ひょうきんに質問を投げかけてくれて、なんて信頼できる水晶さんなのだろう。石たちにこんな個性があることを知り、私の生きる世界が、またひとつ豊かになった。
その日以来、どこにでも連れて行き、いろんなことを体験してもらっている。川や海、カラオケに都会の楽器屋さん。倒れた父の兄妹間の話し合いにももちろんついてきてもらう。
外出先では、私の代わりに子守を任せることもある。なんて頼もしい仲間だろう。私にとって、かけがえのない存在になったのは言うまでもない。
我が家に来てくれて、ありがとう。
これからもよろしくお願いします。