怪談掌編 逢魔話⑥『浮面の祭り』
どの地域にも、土着の祭りというものが存在する。特に田舎では最早誰も由来など知らないような祭りが今なお行われているというようなケースもある。僕が住んでいた村もその例に当てはまる。一年に一度、大人たちが田園風景が広がる村の中心にぽつねんと存在する山の中に入っていき、そこに存在する神社で祭りを執り行っていた。僕の両親も毎年参加していたが、当時まだ小学生だった僕と中学生だった兄は家で留守番をするように言いつけられていた。祭りの日は村のどの家も大人が出払っているため、辺りはしんと静ま