トヨタのタイヤの除電特許 その1
遂に発見!トヨタも同じことを考えていた!
特許解説シリーズでは、一般の人が知らない特許を掘り起こし、分かりやすく解説しています。
当ブログはテストドライバーの経験や16歳からのオートバイの長い趣味で培った技術系の内容が多く、文字を読み慣れない若い年齢層にはどうなのだろう?と思っていましたが、興味がある人は一定数いるようで、ちょっと安心しました。
自慢の愛車をSNSにアップするのもいいのですが、当ブログは仕事で書いているので土俵が違います。少しはためになるような内容も書いています。
自分でいろいろとやっている整備通な人、技術の深い専門知識がある人ほど興味を持つ傾向があります。まぁ、マニア向けなのでしょうね。
なぜ特許を基に書くかと言うと、科学的な根拠に国のお墨付きがあるから。もし、特許を疑うのであれば、技術立国 日本を信用しないのと同じです。
友人が除電の特許を取るまでの苦労も知っていれば、私の兄は特許庁の出先機関で申請された特許を精査する仕事をしていました、それも2輪です。
元々は大手バス・トラックメーカーの研究所勤務で、実際に特許をいくつか取っています。
そして私はテストドライバー出身です。ここまで書けば分かると思いますが、揺るぎないバックボーンがあるのです。
もし、それでも疑いたいという方はどうぞ、今のままでいいじゃないですか。
特許の文章には独特の言い回しがあり、それがとても分かりにくい。
自分の特許の領域を侵されないよう、防御的にこのような言い回しや表現をしていて、それで読解が難しいので「特許庁文学」と名付けました。
この特許は何と12ページのボリュームがあります。余りに長いので何回かに分けて解説します。
と、いう訳で、トヨタのタイヤの除電の特許の解説スタートです。
まず、特許文献のタイヤの図解をご覧下さい。タイヤを除電するために、タイヤとアルミホイールの各5か所(12)に「自己放電除電器」を取り付け(貼るか塗るか)て、除電効果を検証して除電の効果があったという特許内容です。
自己放電除電器というのは、トヨタの静電気を除電する特許の名称です。
良く知られているのが、アルミ箔・アルミ板を車体に貼ってそころから放電させ、除電する装置の名称です。「自己」ですから、電気を使わず除電出来るという素晴らしい特許です。
特許文献をコピー&ペーストして太字にし、その後に解説をします。
【0002】
特許文献1には、車体に帯電した静電気を除電することにより走行安定性を向上させることができる車両が記載されている。この特許文献1に記載された車両は、空気流が車体から剥離する特定箇所に、その特定箇所の電位に応じた自己放電を生じる自己放電式除電器を取り付けることで、特定箇所の静電気を除電するように構成されており、その自己放電式除電器を取り付ける位置の一例として、車輪の回転中心位置が挙げられている。
特許文献1とは前述の一番有名な除電特許、アルミ箔を車体に貼って車体を除電して走行性能を向上させるという特許の事です。
動画はシューズメーカーのアキレスの除電するゴム(特許)をドライバーシートの一部に使い、車体に帯電する静電気をそこで除電して、走行性能を向上させるというもの。除電シートは新型クラウンのオプション設定となっています。
【0003】
また、シリカなどの電気抵抗が大きい材料や絶縁材料によりタイヤを構成した場合には、車体と路面とが絶縁状態となって、車体に静電気が帯電する可能性がある。そのため、特許文献2には、タイヤが取り付けられるホイールのリムとトレッド接地面との間に、電気抵抗が小さい導電性ゴム材からなる導電路を形成している。このように導電路を形成することにより、車体の静電気を路面に放電することができ、車体に静電気が帯電することを抑制できる、と特許文献2に記載されている。
特許文献2とは、以前、当ブログで書いた住友ゴム(ダンロップ)特許に加えて、タイヤの一部に導電性の高い部分(いわゆる導電スリット)を設け、少しでも多くの静電気を路面に放電させたいという特許です。
これを見ても、タイヤメーカーがタイヤの帯電問題に苦慮しているのがわかります。乗用車のタイヤ側面にある筋や模様も、静電気を少しでも放電させる工夫です。
私が予想した通り、トヨタの車に静電気の帯電(蓄積)によりその障害が発生、装着していたダンロップタイヤに解決策を求めたのは間違いありませんね。元テストドライバーとしての読み通りです。
調べただけでも、ブリヂストン、ミシュラン、ダンロップ、横浜タイヤで導電スリットを設けたタイヤがあります。それを知っているか、知らないかというだけです。
この特許文献でも気になる表現がありました。抑制できるという表現です。トヨタが除電という言葉を使っていて、一番認識されていると思うので、私も除電と言っています。ただ、静電気は何をしても発生してしまう厄介なもの。それも動くだけ、空気が流れるだけ、タイヤが回転するだけでも発生してしまう。
静電気は路面状況や湿度、温度等で常に発生量が変化する等、様々な要件で発生量が常に変化するものですから、完全に帯電量ゼロとは言えない訳です。これを分かって下さる人が少ない、口で言うのは簡単ですが。
例えば、走っていなくても、エンジンをかけた状態でも帯電していますし、エアコンをつければ帯電量は増します。なので、除電という言葉は使っていますが、”抑制出来る”と表現しているのです。
ここでご理解頂きたいのは、導電性カーボン+導電スリットでも、タイヤの帯電問題は改善はしたけれど、解決していないという事です。その理由は、電気というのは流れる先が重要なのです。
このように工夫しても、アスファルトは石油から作られており、プラスチックや合成ゴムと同じ導電性が低い物質なので静電気が少ししか流れない。
事実として、導電スリットのあるタイヤでもマジ軽ナットの効果は大きい。なぜなら、路面への放電を当てにせずに24時間放電しているから。
マジ軽ナットの情報は某タイヤメーカーの設計部にも届いているそうです。
この解説が理解出来る方なら、マジ軽ナットが欲しくなっている事でしょう。
いろいろと調べていたらホンダもそうですが、日産も除電の特許を取っているのも判明。これについては長くなるので省きますが、車の効率化、省エネ化に「そうか、ここがあったか!」と各自動車メーカーがこぞって研究している新たな分野なのです。
現在分かっているだけで、トヨタとホンダ、日産は静電気の除電を採用若しくは採用段階にあるのは間違いありません。
トヨタの子会社のダイハツと日野。スバル、スズキはトヨタと資本提携、日産は三菱とアライアンス関係です。除電の技術をどの位提供しているかは分かりませんが、完全子会社なら提供していると見るべきでしょう。
提携やアライアンスではどうなのか分かりませんが、自動車業界が注目している技術なのは特許取得から見ても間違いありません。
分かってはいましたが、調べれば調べるほど重箱の隅をつついたら、美味しいものが見つかったようなもので、それを2012年から「これは、面白い!」と続けて来て良かったと思います。
トヨタがタイヤとホイールの除電で走行性能が向上するのをデータを基に立証して、特許を取得しました。これもまた、目的は同じだけれど方法が違うだけでした。トヨタにお礼を言わないといけませんね。
たまに「トヨタも除電をやっているから、商売敵ですか?」と言われることがありますが、とんでもない。トヨタも除電で動きを良くする事をやってくれているから広まっているのです。だからいつも「そんな事はないですよ。私はとトヨタ応援団です」と返しています。
このトヨタ自動車の特許の申請は2017年、マジ軽ナット・ボルトの特許申請は2014年です。
つまり、トヨタの特許が公開された後に真似した技術ではない、という事。
電源不要で物の動きを良くする、オリジナルの技術だという証明です。
そもそも、サスペンションを除電して動きを良くするボルト・ナットは一部のトヨタディーラーで、2013年後半か2014年初めには既に販売されていました。
まさか、そんなことをやっているのは自分達だけだと思っていたのに、後になって調べると「トヨタも同じことを考えていたのか!」と驚くのも分かって頂けると思います。
トヨタディーラーでタイヤ・ホイールの除電グッズは販売はされていないようですが、マジ軽ナットは販売しています。
後付けで簡単に取り付けられ、乗り換える際にはまた使える。これがどれだけメリットがあるかお分かり頂けるでしょう。
それもポケットマネーでかなりの部分が改善するのですから、安いものです。
8月18日(日)神奈川県厚木市 相模川河川敷で開催されるエクスチェンジマートの開催が決定しました。
開催は早朝午前5時から。当店は5:30目安で開店する予定です。
このような感じで、特許証も掲示して説明しています。
暑くなると来場者が減っていきますので、早めにお越しください。
当日は残り分ですが除電スプレーを持参します。
携帯電話(ガラス保護フィルム付)なら、静電気の誤作動が減ります。
ヘルメットなら、除電で風切り音が減少します、これは上記の動画と同じで、除電で空気抵抗が低減するからです。