自動車開発の思い出 その14
車で国境を超える貴重な体験
米国出張では余りにも退屈な週末。せっかくここまで来たのだから、「遠い所に行こうよ!」という話が出ました。
すると、チームの先輩が「ナイアガラ フォール(滝)に行ったけど、スケールが大きくてきれいだよ、迫力もあるし」と話しました。
そうか、本やテレビでは知っているけれど、世界で2番目に大きい滝。
さまざまな逸話もあるし、行けるものなら行って見たい。
上司に打診してみました。その上司は、週末は朝から晩までモーテルの部屋に籠って吞んでいる人。
チームの最年長だから、責任者になっただけ。何かあったら自分の責任になるから、いい顔はしませんでした。「行っても、ただ大きいだけの滝。そんなにきれいでもないし…」そう言われました。
ところが、先輩の一人は「私も行った事があるけど、壮大だよ。若いのだから行ってみてみるといい。トロントに私が泊まったホテルを経営している、ドイツ系カナダ人のおばあちゃんがいるから、そこに泊まるといい。
連絡しておくから」と大プッシュしてくれました。おそらく、責任者にも口添えしてくれたと思います。
そんな事があって、車で3人で宿泊の許可が下りました。遠距離の国境越えなので、事前に万全の整備をしました。
余談ですが、当時はまだカーナビが出始め。テスト車のソアラに付いていたナビは、カセットテープだったと記憶しています。家内に言ったら「そんなのある訳ないよ」と言われましたが、自分で「カーナビってどんなの?」とテスト車をいじった記憶があるので、間違いないと思います。
もちろん、GPS機能はなし。GPSは元々軍事技術だから、当時、衛星は貸してもらえません。自走航法だから精度も悪い。ソアラはテストコースのみで実際に公道でのテストはしなかったので、どの位の精度だったかは不明です。
そんな訳で、地図で見れば数㎝(縮尺によりますが)ですが、車での国境越えでの一泊旅行が決定!
トロントのホテルにも連絡を取ってもらい、いざ出発。途中のガソリンスタンドで地図も買って、一人が運転、助手席はナビゲーター、後席は休むか寝る、のローテーションでカナダを目指します。
米国のフリーウェイだから、もちろんタダ。途中、都市部だと片側6車線もあって、写真を撮った覚えがあります。でも田舎道は映画に出て来るような地平線まで一本道。
未知との遭遇を思い出しつつ、ずっと変わらぬ風景で飽きてしまいます。「水曜どうでしょう」の北欧を走っていると、ずっと変わらぬ風景が続き飽きてしまって、大泉洋がおかしくなって膝を叩き続けるというシーンがありますが、「分かるぅ」。
そう、真っ直ぐで風景が変わらないと、眠くなるんです。
当時は米国での音楽の主流はラジオ。日本ではまずない距離を走り続けるので、聞こえなくなったら別のラジオ局に周波数を合わせながら走り続けます。実際に行ってみて、「話には聞いていたけれど、今でもラジオが主流のが分かる」と感じました。
遠い距離をそれまでは馴染めなかったカントリーを聴きながら走ると、「なるほど、こういう風景にマッチする音楽なのね」と違和感が消えていきました。
およそ450マイルほど走り、国境の検問所に到着。すると女性のカスタマーが「トランクを見せるように」と言いました。「何だろう、何か密輸でもすると疑われているのかな?」と話をしつつ、検問だから従います。
トランクを開けると、日本車の車内が見たかったらしく、何か感心しながら話しかけてOK。
ちなみに、よほど日本を知っているか興味を持っていない限り、日本人=アジア人です。同じアジア圏からしたら、「この人は〇△人かな」となんとなく分かりますが、彼らからしたらアジア人というひとくくりです。
パスポートにスタンプを押して無事入国。今までの入国は全て空港だから、車で入国審査を受けるなんてまずない貴重な経験をしました。
いよいよトロントに入りました。
当ブログでは、静電気の除電について、模倣が出来ない程度の技術解説と他社の特許文献の解説、自分で作ったり加工、修理したもの。テストドライバー時代の事や長いオートバイの趣味等を書いています。
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某大手自動車メーカーのレース部門も興味を示している、タイヤに帯電する静電気を除電し、転がり抵抗を低減するアフターマーケットパーツです。
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