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トヨタのタイヤの除電特許 その4

トヨタとは除電方式が違うのみ

毎度お馴染みとなっている、静電気の除電の特許シリーズです。除電の研究で日本で一番熱心なのはトヨタ自動車。ということは、間違いなく家電も含めて系列会社、関連会社、資本提携している会社には除電の効果は伝わっているでしょう。
なにしろ、コストが安くて効果があり、転がり抵抗が低減して無駄なエネルギーが減らせる。
何でも値上がりしている昨今、省エネでありタイヤも長持ち、家計も助かるのです。

以前エクスチェンジマートで、お客さんから「Can●nがプリンターが静電気の帯電でトラブルが起きて困り、静電気を除電しようと研究している」と聞きました。「えっ、それなら私は対策していますよ!」と話しました。
プリンターは部品の多くが絶縁体のプラスチック製、スキャナーが動き、ローラーで擦られながらコピー用紙が送られる、高電圧の部品もあり、それは多量の静電気が発生、帯電します。
静電気の影響で、フリースを脱ぐ時と同様に動きが悪くなるから、紙がくっついて誤印刷が増える、静電気でインクやトナーの位置がずれる、それが紙やトナー、電気代と時間も無駄となる。
ちょっとしたお金で除電すれば、無駄が減ってコストダウンになるのはタイヤと同じです。

プリンターの除電で紙の無駄が減少

このような場合、金型に大きな変更をすることなくマジ軽ボルト・ナットを取り付けて安全に除電する方法は考えてあります。

除電の研究を始めたのは2012年、正直、一流メーカーを抜きん出てやっている部分もあります。メーカーは静電気の帯電に頭を悩ませているけれど、安いコストで除電する方法を知らない場合が多いのです。
それだけではなく、除電は電気回路の効率を向上させる事が出来るのです。
車で言えばアーシングです。効率が悪い電気の流れを改善する。
例えば、私がレストアを依頼された50年前のオートバイ。オーナーを説得してメインワイヤーハーネスは交換、車検で落ちる確率が高いヘッドライト検査をクリアーすべく、別にアーシングをヘッドライトに持って行きました。更にヘッドライトのマイナスの配線を2本にしました。
そうしたら、ヘッドライトの光量は15,000kd(カンデラ)越えで、予備検の人が驚いていました。

除電の効果は一般的に知られていない・知らないから疑う人もいますが、もはや、信じるか信じないかではなく、認めるか/認めないかとなりました。
マジ軽ナットの噂もどんどん広がっています。嘘だと思うなら、検索してみて下さい。ユーザーさんがいろいろとインプレッションを投稿して下さっています。

この特許解説シリーズを初めて読む方は、最初から読んで下さい。更に住友ゴム(ダンロップ)の特許も当ブログで分かりやすく解説しています。
特許のコピー&ペーストを太字にしています、その下が解説です。

【0020】
  この発明によれば、タイヤのうちのタイヤホイールに取り付けられる内周部と、タイヤホイールの回転中心からタイヤホイールの半径方向に予め定められた所定距離、離れた所定部位との少なくともいずれか一方の車幅方向における外側に露出した面に、その露出した面に帯電する静電気の電位が所定電位以上となることによりコロナ放電が生じる自己放電式除電器が取り付けられている。したがって、自己放電式除電器が正の静電気を帯びることに伴って、周囲に負の空気イオンを引き寄せることで、自己放電式除電器の周辺の部位を除電することができる。また、自己放電式除電器は、タイヤホイールの回転中心からタイヤホイールの半径方向に離れた部分に取り付けられていることにより、タイヤホイールの回転に伴って自己放電式除電器が取り付けられている位置の軌跡が変化するため、広範囲で負の空気イオンを引き寄せることができ、その結果、回転する帯電しやすいタイヤおよびタイヤホイールにおける車幅方向における外側に露出した面の全面または広範囲に亘って均一に除電することができる。

タイヤホイールには(下図のように)「所定部位・所定距離」には帯電した静電気が所定(一定)以上になるとコロナ放電が生じるに自己放電式除電器(トヨタの除電方式の名称)が取り付けられている。
自己放電式除電器が正(⊕)の静電気を帯びると周囲に負(⊖)のイオンを引き寄せて、自己放電式除電器周辺を除電する事が出来る。
それをホイールの中心からタイヤホイールの離れた半径方向に取り付ける事により、タイヤホイールの回転に伴い位置の軌跡が変化するので、広範囲に負(⊖)のイオンを引き寄せられる。つまり、中心部だけだと少ない面積しか除電出来ないが、外周に近い部分で除電すると大きな面積均一に除電出来て効果も大きい。
この特許は後から見つけたものですが、正にエアーバルブの位置はホイールの外周の外側に近い部分(12)なので、効率良く除電出来る位置に当たります。

ホイール・タイヤの外側になるほど、除電の範囲は広くなります

さらに、自己放電式除電器からコロナ放電が生じることにより、その部位および周辺の部位の電位を低減すること、つまり除電することができる。上記のような負の空気イオンを引き寄せることや、タイヤの内周部や所定部位を均一に除電することによる空気流との斥力の低下によって、車両の側面に沿って流れる空気流が車輪やその周辺から剥離することを抑制することができ、想定したとおり、もしくは想定に近い空力特性が得られ、ロール方向およびヨー方向の車両の挙動の安定性を向上することができる。

自己放電式除電器がコロナ放電する事により、取り付け場所と周辺を除電する事が出来、負(⊖)のイオンを引き寄せ、タイヤの内周部や所定部位を均一に除電すると、空気流との斥力(反発しようとする)が低下し、車両の側面に沿って流れる空気流が車輪とその周辺から剥離するのを抑制出来、空気特性が得られてロール方向、ヨー方向の挙動の安定性を向上させられる。
マジ軽ナットを付ける意味は、転がり抵抗を減らすのも大きい効果だけれども、それだけではなく、運動性能をアップグレードする効果があるというのはこのような事です。
ハンドルを切ったら今までより「スッ」曲がれる、「タイヤの切れ込みがいい」、「タイヤが付いてくる」、「コーナリングが楽しくなった」等、言い方は様々ですが、要はタイヤ本来の性能が引き出された、という事です。

【図7】一輪当たりに取り付けられた自己放電式除電器(テープ)の総外周長と、燃費改善率との関係を示す図である

この特許を発見して一番嬉しかったのが下のグラフです。
以前書きましたが、何故か「多く除電すればするほど効果が高くなる」という考える方がいて、「それは間違いですよ」とお答えして来ました。
これだけでも、当ブログを読んだ価値があると思います。

工業高校に自転車を持ち込んで試乗してもらい、全員が転がり抵抗の軽減を体感した後に質問を受けた中で、「静電気の除電でデメリットはありますか?」と生徒さんに質問を受けました。
あえて言うならデメリットはやり過ぎた場合のみです。今どきの高校生は鋭い質問をすると感心しました。
除電は適度な範囲に留める、上図の通りタイヤ・ホイールにテープ式の自己放電式除電器を取り付け(貼り付け)た長さに対する”燃費改善の効果”です。見て分かる通り、170㎜~180㎜が頂点となっていて、それ以上長くすると逆に燃費改善率は下がっていく、つまり燃費が悪くなる。金属を含有させて塗装する除電方式でも、グラフの曲線は殆んど同じで、塗り過ぎは逆効果となっています。
除電についてここまで書いているブログは、おそらくこのブログだけでしょう。
除電で転がり抵抗の軽減や空気の流れが良くなれば、走るのに無駄に使うエネルギーが減るのだから、燃費改善は当たり前。
ですから、Honda エコマイレッジチャレンジでもマジ軽ナットを採用しているチームがあります。(ただし、一般公道では公平な比較が出来ないので、燃費は謳っていません)ですが、除電し過ぎると逆効果になるのです。
これを知っていましたから、「除電量が多ければ多いほど良い、というのは間違い」なので、「ほどほどの除電で十分ですよ」と説明しています。

適度な除電に留める必要がある

元々、静電気は様々な要件で常に変化しています。何度か書いていますが、乗り物自体、湿度、速度、部材の材質、路面状況、タイヤの材質や構造、温度等等など、エアコンを使っているかどうかでも変わります。
「どの位帯電が減ったか測ればいい」という人がいますが、おそらく静電気は常に一定の発生量だと思っているのでしょう、悪いですが素人考えです。テストコースを持っているメーカーなら、ほぼ同一条件で測定出来るのである程度データが取れますが、グラフを見て下さい、Y 軸が「高・低」となっているでしょう?
常時発生量が変化しているから、数字が書き込めないのだと思います。
ただ、何度も計測して長さに対する効果がはっきりしているので、特許が取れているのです。

このトヨタの特許でお分かりの通り、タイヤ・ホイールを除電に適した位置で適度に除電する事によって、転がり抵抗が減り、少ないエネルギーで回転する。つまり省エネになり、走行安定性も高まる。
これは、今まで何度も書いて来たり、説明して来た内容そのままです。これこそが核心の部分で、「では、何を使って除電すればいいのか?」となりますね。

私の知る限り、トヨタはこのタイヤ・ホイールの除電の特許は取得していますが、それ用の除電シール・塗料は市販はされていないようです。
もし、販売されているのをご存じの方はお知らせ下さい。

静電気を放電させて除電する特許をタイヤ・ホイール用に応用したのが、マジ軽ナットです。特許ですから、国が「ちゃんと除電効果あり」と科学的なデータを基に4年がかりで認めています。だから、認めるか/認めないか、という事になるのです。認めないという人は、データを無視して日本の科学技術を否定しているのに等しいのではないでしょうか。まぁ、放っておきますが。
マジ軽ナットは劣化しにくい材質ですから、使い回しが可能。汚れたら、水をかけてブラシで流してあげればOK。4輪なら取り付けは2~3分、2輪なら1分程の除電チューニングです。

「ツーリングに行く前に、ミッション用のマジ軽ボルトが欲しい」というお客さんがいました。愛車のジープのエアクリーナーケースと、タペットカバーの2か所にマジ軽クリップを付けて、走行テストをしながらやって来て「エンジン音が静かになった気がする」との事。
はい、そうです。「私がエンジンの除電をやったのは、2013年ですから」と話しました。
各部品が少ない力でスムーズに動けば、今までと同じという方がおかしいと思いませんか?各部品の寿命が延びれば車自体の寿命も延びるのではないでしょうか?

マジ軽ナットはネットショップでかんたん購入が出来ます。


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