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モノ作りの例 #5

スイッチの修理例です

数年前、30年以上ほったらかしだった友人の古いバイクを頼まれてしストアしました。車でも生産終了後30年も経つと、ほぼ部品はありません。
オートバイなら寿命が更に短いですから、全く無いと言っていい位です。
リプロ部品がなく、とても困ったものの一つにスイッチがあります。
現在のバイクのスイッチはしっかり作ってあって、修理する必要がありませんから構造は知りません。
このバイクはライトのスイッチの∩形の出っ張りが折れていました。
構造は口では説明が難しいのですが、扇形のスイッチ自体が動いて、接点がスイッチケース内にあるベーク板の金属面と接触して通電し、ライトがON/OFFするという、単純なものでした。

∩はスイッチを動かすツマミをネジで止める部分です。つまり、∩がないとスイッチが動かない。これでは車検が取れません。
スイッチケース内のベーク板が割れているのなら、基板用で銅がコーティングしてある部分をエッチングで取って作り直せばいいのですが、もっと面倒くさい事態でした。
いつも通り、時折スイッチを眺めてどうしたものかと考えていました。
前述の通り、部品供給はありません。「困ったなぁ、どうしよう」中古を探したところで、劣化しているのは間違いない、そんな感じで数日考えていたら、ひらめきました。

ここをV字形に掘って別の板を埋め込めば、ちゃんと強度もあって、再利用出来るだろう。あれを使えば折れる事はない。厚みは削ってしまえばいい」。それで、すぐに他の目的で使ったベーク板を持って来ました。
「さて、どうやってこの狭い場所をV字形に掘るかだ…。細いドリルで何個も穴を開けたところで、穴と穴を繋ぐのは難しい」。
それで、またひらめきました。「そうだ、ミニルーターがあった。確か、先が尖った細いのがあったはず」。

早速、ドリルで小さな穴を2つほど開けて、そのルーターを使って穴を成形します。プラスチック自体が透明なのも幸いして、横から接点に触らないよう、慎重に掘っていきます。
厚過ぎたベーク板は厚みを削って合わせ、エポキシ系接着剤で接着しました。

どうしても再利用しないといけないスイッチ

ベーク板が捻じれたり、ズレたりしないよう、ある程度固まるまでは修正しながら位置を固定します。完全硬化後に、元の∩と同じ長さに切って、ツマミが付くようにネジ穴を開けて修理完了しました。
このような破損では、プラリペアのような欠けた部分だけをつぎ足すような補修では、強度不足でまた根元から折れてしまいます。差し込まないと十分な強度は出ません。

無事修理が完了

これで、復元が出来ました。ベーク板だから、強度も十分。劣化もプラスチックよりはしにくいので、数十年は持つはずです。何より、ある物で直したので、タダで出来ました。アイデアと時間は必要でしたけれど。
実際にスイッチを使っても問題なく使えました。もちろん、車検も当ブログのアース強化ハーネスと相まって、予想以上の光量(35000kd超)でパス。レストアで困っている人の参考になれば幸いです。

当ブログでは除電技術やテストドライバーの思い出、自分で考えやってみたアイデアも公開しています。
本業は物の動きを悪くしてる静電気を除電して動きを改善すると、効率が良くなる。つまり、少しの投資で除電すると、投資した以上のお金が返ってくる。タイヤがいい例です。
それだけではなく、走行性能が高まり、面白い。それが除電技術です。


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