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3Dプリンター:太ノズルで同時3軸制御にチャレンジ!

Triple Bottom Lineでは太ノズルを使った3Dプリンターの造形を探求していますが、今回は「同時3軸制御」にチャレンジした事例をご紹介します。

同時3軸制御とは

3Dプリンター(FFF方式)は通常、1層の高さの造形を順に積み上げるという方法で立体物の造形を行います。造形中のノズルはXY平面上を移動し、1層分の造形を終えるとZ軸が積層ピッチ分上昇し、これを繰り返すという仕組みです。

一方で、今回のテーマである「同時3軸制御」とは、このノズルをXYZ軸方向に同時に制御して移動させる技術で、この制御を行うとノズルを自由自在に動かし3Dプリントの造形の幅を広げることができます。この技術は切削加工では曲面の仕上げ加工などで使われる技術ですが、3Dプリンターでの活用は現在のところあまり多くありません。

同時3軸制御の例

nonplanar.xyz
軸が長いノズルを販売するnonplanar.xyzでは、非平面の造形を行っています。ノズルが長いことで、造形物とエクストルーダーが干渉せず同時3軸制御がスムーズに行えます。

太ノズルの造形について

今回はノズルを自由自在に動かせるという特徴を最大限に活かすため、空中に造形を行い構造物を作りたいと思います。そのため同時3軸制御そのものは必ずしも太ノズルである必要はないのですが、1.0mm〜1.4mmのノズルでの造形を行います。

太ノズルの魅力や使い方などはこちらにまとめていますので、合わせてご覧ください。

同時3軸制御の手法

Triple Bottom LineではかねてよりGコードを使って3Dプリンターの制御を行っています。今回はこれまで培ったこの制御の技術を応用して、同時3軸制御に挑戦します。

従来は手作業によって生み出される銅素材の器の表現や着色法を
コンピュテーショナルデザインによって再創造したプロダクト

このプロダクトでは、ノズルの軌道を左右に蛇行させる制御を行いました。

使用するソフトウェアはRhinocerosとそのプラグインのGrasshopperです。造形にあたって基準となる形に、螺旋状のパスを生成し、更にそのパスを上下に蛇行させます。

パスの全貌。この線のとおりにノズルを動かします。

今回造形する形状はさらにオーバーハングの部分があるため、蛇行の高さの幅もその地点の基準面の曲率に合わせて調整を行います。

角度が急になる上部は高さの移動の幅を狭めているため、
横から見るとパスの密度が高くみえる。

造形用のパスが完成したら、実際に3Dプリンターで造形します。

同時3軸制御の3Dプリント

実際に3Dプリントしてみている動画がこちらです。

動画ではきれいに造形ができているように見えますが、画面上で作ったパスと実際に造形で描く樹脂の軌跡は重力や温度の影響を受け全く同じにはなりません。そのため、造形用パスや温度、スピードなどを細かく調整して、理想の造形パスになるように近づける作業を行いました。

また、この動画を(個人アカウントですが)Xに投稿したところ800万を超えるインプレッションを獲得しました。主に制御技術の高さを評価いただくリアクションが多く、また太ノズルの魅力も引き出しているとのことで3Dプリンターの新たな可能性を広げられたのではと考えています。

Xで明かされなかった造形物の全貌!

さて、Xでは造形中の動画のみで完成形をお見せできていませんでした。これは、ある展示向けの制作物で、この展示についてはこちらで詳しく記載しておりますので合わせてご覧ください。

そして、造形物全貌はこちらです。

動画は透明の樹脂ですが、こちらは黒い樹脂。

メッシュの透け感が美しい構造物ができました。Triple Bottom Lineではこの技術を更に深めてプロダクトデザインを行ってまいります。プロダクト製作や協業にご興味ある方はぜひご連絡ください。

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