六波羅蜜寺天暦造像と空也
◆はじめに 空也上人(903~972)は、平安時代中葉10世紀にいち早く口称念仏の信仰を説いた、我が国浄土教(阿弥陀如来と極楽浄土に対する信仰)の先駆者といえる人物であるが、史料の乏しさから、その生涯については未だ謎が多い。
その中で、空也の道場であった西光寺の後身にあたる京都府六波羅蜜寺に伝来し、天暦5年(951)空也自身の発願造像によるとされる本尊十一面観音菩薩像(秘仏)および四天王像(うち1軀は後補、現在は宝物館にて展示)は、空也の行跡を直接伝える唯一といってもよい貴