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音色に冷気をまとったピアニスト

予想通り大変な暑さの夏がやってきました。

私は夏が好きなタイプなのですけれど、ここ1〜2年ほどは、夏が好きだと言いきる自信が少し揺らいできています。それでもやっぱり夏が来ると嬉しい高気圧好き人間です。

たとえ好きでも、身体が暑さに慣れるまでは少し時間がかかりますね。

この暑さにあてられて、音色に冷気をまとったピアニストのことを書きたくなりました。

確か半年くらい前のことだったと思います。まだ冬の寒い季節に初めて知ったそのピアニストの演奏を初めて聴いたとき、その音色、演奏の印象が特別なものでした。

ピアニストはアイスランド出身のヴィキングル・オラフソン(Víkingur Ólafsson)。

なんて冷たい音で演奏するんだろう、どうしてこのピアニストはこんなにひやりと冷たく感じさせる演奏をするのだろうというのが第一印象でした。私はそう感じたのですが、家族からは「冷たい感じはしない」と否定されてしまいましたので、もしかすると私だけなのでしょうか。

そして、その印象は今になってみると、ある意味で夏に合う音楽と言ってもいいのではないかと感じさせました。

最初は、あまり好きになれそうもないと感じる演奏でしたが、何度か聴いているうちに、なぜか少しくせになってきます。

ひとり孤高の境地にいるようでもあり、またどこか簡単には近づきがたい厳しさを感じさせる演奏から、私に冷気のようなものを感じさせたのかと思います。

演奏からは静謐さを感じ、雑味を取り除いた澄んだ音楽という印象です。音楽について、静謐という言葉を使ってよいものか少し疑問ではありますが、そう感じました。

北欧出身ということがオラフソンの音楽性にどのくらい関係しているのか分かりませんが、ついそこに紐付けてみたくなるのは、北欧という言葉が呼び起こすイメージにも近いものがあるからでしょう。

オラフソンの演奏を聴いていると、肌にまとわりつくねっとり暑い空気も、心なしかその温度が下がり、多少でも気にならなくなるような気分になります。

ドビュッシー、子供の領分から「人形へのセレナード」

ドビュッシー、ラモーのCD
全28曲のうち最初の10曲


モーツァルトやハイドン、CPEバッハなどの曲を集めたCD


モーツァルトのCDが6月ころに仲間入りし、今のところ、私が聴いているのは、この2枚です。どちらもすてきですが、この真夏の季節に合うのはなんと言っても、ドビュッシーとラモーでしょう。

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