2人のフランソワ 〜 幻想交響曲
ピアニストのお話しです。
私が一番好きなピアニストはフランソワですが、愛聴しているピアニストにフランソワが2人います。
1人はすでに過去の人で一番好きなピアニスト、サンソン・フランソワ。
もう1人は現役からすでに引退しているらしいものの、存命のピアニスト、フランソワ=ルネ・デュシャーブルです。
二人とも名前にフランソワがついていて、それが姓か名かの違いはあれど、私にとってはどちらもピアニスト、フランソワです。
サンソンとの出会いはかなり前で、きっかけは図書館でした。ドビュッシー、ラヴェルのCDを借りたときに知り、数年前には全集を買うほど気に入っています。
今日はもう1人の方、フランソワ=ルネ・デュシャーブルの演奏曲について書こうと思います。
彼を知ったのは、家族が古いデュシャーブルのCDを持っていてそれを聴いたことがきっかけでした。
そのCDがこちらです。
驚いたのはあの有名なベルリオーズの幻想交響曲をピアノソロで弾いていること。しかもオーケストラ曲を知ったうえで聴いても、とくに違和感や不足を感じることがありませんでした。オーケストラの演奏する曲と同じように、迫力のあるドラマに浸ることができる演奏で、オーケストラ演奏にも引けをとらないように感じるのです。
ベルリオーズの幻想交響曲をピアノソロに編曲したリストあってこそではあるのですが、これほどドラマティックにこの曲を1人で演奏して聴かせるデュシャーブルはすごい人だと感銘を受けました。
この長く壮大な曲を途中少しの気の緩みもなく、最後まで一気に聴いてしまいます。
多分、家族がこのCDを持っていなければ、リストが編曲した幻想交響曲の存在を知る機会はなかったような気がしますので、こういう曲があることが分かってよかったです。
1979年演奏
ベルリオーズ/リスト 幻想交響曲
幻想交響曲以外にもリストの曲が数曲、後半に収録されています。
メフィスト・ワルツ 第1番
コンソレーション 第3番 変二長調
鬼火(超絶技巧練習曲集 第5番)
ラ・カンパネラ
愛の夢 第3番
(1974年演奏)
1枚聴き終わった後は、もう満腹です(笑)
リストの小品の演奏もとてもよく、この後半だけを聴くこともよくあります。
村上春樹の本「古くて素敵なクラシック・レコードたち」の中で、このCDでのリストの演奏が紹介されているのですが、曰く「リストらしからぬ演奏」との評が書かれていたことを覚えています。
私はリストらしい演奏、らしくない演奏を聴き分けられるほどにはリストのことを知らないのですが、デュシャーブルの弾くリストは好きな演奏です。
特にコンソレーション3番は落ち着いた雰囲気のある演奏で、聴いていて癒されます。
フランスの脚本家、演出家のアラン・カレとデュシャーブルが協演して、このコンソレーションでの音楽劇の模様が公開されています。
とてもおもしろい活動ですね。フランス語が分かるとよいですが、分からなくても劇の雰囲気は充分に伝わってきます。アラン・カレの朗読も素晴らしいので、見始めると惹き込まれてしまいます。
ピアニストとしての国際的な活動から引退した後、フランスのアヌシーの湖畔に住居を定めて、こうした活動をしているそうです。
アヌシーはすてきな街なので、引退後に住むにはいいところだなと思います。デュシャーブルが羨ましいです。パリからは遠いですが、スイスのジュネーブのすぐ近くにある街で、色々と魅力的な街へのアクセスもよいところだと思います。
デュシャーブルの他の演奏も聴いてみたくなり、ベートーヴェンのピアノソナタ、それからショパンのピアノ曲集を買ってよく聴いていますので、またそちらについても機会があれば書いてみたいと思います。
好きなピアニスト、2人のフランソワのうちの1人、フランソワ=ルネ・デュシャーブルに興味を持つきっかけになったアルバムのご紹介でした。
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